大腸(直腸)がん(発症時:76歳)

収録時:79歳

男性

総時間:12'22"

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目次

00'03" がんとわかったきっかけ がんと知った時の気持ち
02'12" 治療(手術や入院)について
09'52" がんを体験したからこそ伝えたい思い~メッセージ~


00'03"  がんとわかったきっかけ がんと知った時の気持ち

 

――医療機関に受診されたきっかけがあると思うんですけれども?

 

トイレ行ったら出血しました。それで鮮血ですから、真っ赤な、生きて流れた血と同じだから。あっ、痔でもおきたのかな?と。傷ついたのかな?というふうに、たかをくくっていまして。そしたら2日になってもまだ出るんだよね。2日目ね。
2日目の朝も。便通は何ともないけども、あれっ変だなと。こういうのは初めてだと思って、医者へ行くことにしました。どういう処置をして頂いたかというと、局部の組織を採取させてください、と。で、10日前後かかると。そしたら、電話がかかってきました。気にかかるから早い方がいいと思って行きました。そうして、説明受けたんだけども、まずあなたの病気、大腸がん、直腸がん、青森県人で1番多い。簡単にちょこっと切って治せる場所もあれば、場所が悪くて非常に難しい場所もある、と。ともかく3つの方法のうちどれか施術しなければだめだと。今でいう、放射線だとか、切除する手術だとか何とかあるんだそうですけども。それでまず、切らなきゃならないということになれば、これは止むを得ない、ということで、病院に紹介してもらいました。

いろいろ部長と話をした。執刀する部長と直接。そしたら、今日にでも明日にでも手術しなければならない人が列をつくって待っているというわけさ。しょうがないので、順番を待つことになりました。それが8月頃で、私の順番は12月に入ってから、と。


02'12"治療(手術や入院)について

 

その間は、だいたい2週間に1回くらいかな。必ず外科へ行って、血液の検査、尿の検査、さまざま、CTだのMRIだの、いろんなのを逐一、期間期間決めてやられましたね。手術する3週間前に入院を許されて。
 私は手術の経過、傷そのものは順調に回復していたのでしょう。手術の後、うちへ帰ることに、手術してから3週間くらい経過していましたので。うちへ行って調子悪かったら、すぐ来てください、という話であったんですね。その退院した後からが、苦節の1年、というか1年半、というか2年というか。大変なもんでした。いろんな薬、投与受けるんですよ。その薬は、抗がん剤です。病院から退院して、普通の通り飲食、食べる、飲むわけだけども。まず、食い過ぎ、飲み過ぎ、だめね。美味しいと思って、多く食べると必ず翌日かその翌々日、消化機能が普通の通り働かないで、お腹が痛む、病む、それから、もたれる、という感じ。それで、服用する薬は朝昼晩、食前、食後、日に3回、飲むわけだけども、6ヶ月の間で、朝昼晩、その薬を朝昼晩飲むんだけども、2週間飲み続けて、1週間休ませる。また2週間飲み続けて、1週間休む。それで、まる6ヶ月間、続けるんですね。

 

――自分で、家でコントロールなんですね?

 

間違いなく、規則通り飲んでいかなきゃだめ。で、もの食べたくなくても、多少、食べて飲まないとだめな薬だね。食後服用っていう条件があるから。空いたところで食べると、やっぱり良くないじゃないですか。そういうことを、2週間…6ヶ月やって。で、その薬を飲んだ後、まあ途中も検査受けてるけども、飲んだ後も検査受けたら、今度は薬これで一旦卒業だ、と。で、先生に聞いたら、体調が元に整うのに、飲む前の体調、どれくらいかかるって、飲んだ期間が最低半年かかる、と。元に戻るのが。だからそれから薬飲まなくなって半年、やっぱり、何となくそう言われてあったから、覚悟していました。あとその後、だいたいまあ、元に戻ったのかなぁ、と、こう言ったけども、医者から言わせると、食い過ぎ、飲み過ぎ、注意しなさい、と。やっぱり、それを守らなければならないけども、人間であれば、ああ、美味しいなあ、と思えば、ちょっとして、ね。食べ過ぎるよね。そうすると、今でもたまにあるんだけども、自分ではそう食べたつもりはないんだけれども、やっぱりこう、トラブル、あるんですよ。食べたくない時。お腹が痛むとかね。だけども、病気との対応というのは、なかなかその辺、コントロール難しいものだな、と、今でもそう思っています。現実には。

 

――抗がん剤は辛いんだろうなというイメージは非常にあるんですけども。

 

まあ結局、その、抗がん剤を飲んでいる時は、やっぱりこう、諦めもあるし、従わなきゃだめだからね、それもまあ、仕事のひとつとしていて受け入れて、やっていますから、さほどではないんだけれども、ちょっとトラブルがあったりすると、いや、これは大変なもんだな、と。この、調整する、コントロールするのがね。難しいものだなと。人それぞれ皆違いますので。難しいな、と。こう思っていました。
 さまざま、言い尽くせないくらい、さまざまな症状があるんですけども…。まず、代表的なことからいくと、口の中ですね。口の粘膜が、非常に敏感だといわれています。ええ。ものを食べても、なんか、入れ歯がどうも合わないような感じがして、歯医者さんが「あなたの今の歯、治療をしなくても良い。歯が悪いんじゃない。あなたの口の中、炎症が、抗がん剤とか、そういうものによって、副作用が起きてそうなっているから、歯以外の身体全体の状況をちゃんと検査してもらって、治療してください」と言われた。今でもまだ残っているけども、この親指に、この黒い線。

 

――実際に手術を受けてみてから、ご自身がちょっとびっくりされたことがある、とお聞きしたんですけれども。

 

人工装着。左に、装着されていますけども、肛門はこれに代わっていますので、自分の本来の、自然の肛門は、シャットアウトです。

 

――いろいろケアも必要ですよね。そういうところは?

 

普段は、診察は2ヶ月間にいっぺんずつ。

 

――何か少しでも自分で気になることがあれば…。

 

行った時に話はする。何か問題があれば、私ら、患者の方から質問する。「こういう場合はどうなんですか?」そうやって、どうだとかこうだとか、やりとりする。看護師が写真撮ったやつを、私のカルテにちゃんと貼っている。それはちゃんとしているから。



09'52" がんを体験したからこそ伝えたい思い~メッセージ~

 

――がんになられての経験を通して、伝えたいことがあれば。

 

一番の難点はトラブルです。トラブル…というのは、ちゃんと決められた通り装着しても、漏れているのが、わからないで…わからないと、臭いますよね?そういうトラブルの解消が、やっぱり今、難しいところです。こういうふうになってからの期間が短い人こそ、大変だと思う。まずね、慌てます。そういうようなことで、慌てるだけじゃだめですので、常に外出する時は、大きな建物の場合は、障がい者用のトイレ、そういうところがあるところを使わせてもらっています。普通のトイレは、なかなか面倒なので。最低限のものを常にカバンに入れて歩く、と。これでみんな済む訳ではないけれども。

 

――ご自分で対策をとってやってらっしゃる。

 

若いうちからこういうことになっている、今40代50代の方々は、それが自分の身体だということを認識して、常に携帯して。どこへ行くにも。旅行でも海外でも遊びに歩いている人、ざらにいるんですよ。

 

――準備をした上で、積極的に。

 

不安ばかり持っていると、どこにも、一歩も前に進めないからね。で、それは、医者が解決してくれるわけでもないし、看護師さんが手を貸してくれるわけでもないし、自分でやらなきゃだめだ。はい。
 小冊子も出ているんだけども、科学的根拠に基づくがん予防と。本当はこういう予防が可能であれば、これに越したことがないけれども、がんになってからでは遅いのね。若いうちから、こういう勉強というか、知識を身につけて、自分がこうなったらこういう対応、ということでしょうかね。人を頼りしていてはなかなか難しい。