青森県の現状と取組

1 青森県がん対策推進計画

 青森県では、平成20年5月に国の「がん対策基本法」に基づき、「青森県がん対策推進計画」を策定し、5か年の計画期間において、がんの一次予防対策やがん検診の推進等に取り組んできましたが、がんの年齢調整死亡率は依然として全国で最も高い状況にあります。
 こうしたなか、「青森県がん対策推進計画」に基づく、これまでの取組の成果や課題を踏まえ、平成25年3月に「がんを知り、がんと向き合い、がんを乗り越えられる社会」の実現をめざして、「第二期青森県がん対策推進計画」(計画期間:平成25年度~平成29年度)を策定しました。
 ※参照:「青森県がん対策推進計画」(平成20年度~平成24年度)[699KB]
 ※参照:「青森県庁ホームページ」(第二期青森県がん対策推進計画(平成25年度~平成29年度))

 

<計画期間:平成25年度~平成29年度>

全体目標(平成19年度からの10年目標)

  • がんによる死亡率の減少(75歳未満の年齢調整死亡率の20%減少) 目標82.6人(人口10万対)
  • すべてのがん患者とその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上
  • がんになっても安心して暮らせる社会の構築

 

重点的に取り組むべき課題

生活習慣の改善

がん検診受診率及び精密検査受診率向上による早期発見と早期治療

がん医療の充実

情報提供と相談支援機能の充実

小児がん、働く世代への支援

がん登録の充実と研究の推進

がんの教育・普及啓発

 

分野別施策と取組の方向性

1 生活習慣の改善と感染に起因するがんの予防

 健康あおもり21(第2次)に基づく健康づくりの推進と肝炎ウィルス検査等の普及啓発

2 がん検診受診率等の向上とがん検診の精度管理及び質の確保

 検診に関する県民の理解促進と計画的かつ効率的な受信勧奨の推進、科学的根拠に基づくがん検診の推進

3 がん医療の充実

(1)手術療法、放射線療法及び化学療法を単独で行う治療や集学的治療の実施可能な体制整備

(2)放射線療法、化学療法、手術療法の更なる充実とこれらを専門的に行う医療従事者の育成

(3)がんと診断された時からの緩和ケアの推進

(4)地域連携、支援を通じたがん診療水準の向上

4 情報提供と相談支援機能の充実

 情報提供、患者や家族の立場に立った相談支援対策の充実等

5 がんの教育・普及啓発

 健康教養(ヘルスリテラシー)の向上

6 がん登録の充実と研究の推進

 がん登録の促進と質の確保、がんに関する研究・分析

7 小児がん

 小児がんに関する情報提供、小児がん診療機関間の連携

8 働く世代への支援

 事業主等に対するがんの正しい知識の普及

 

2 がん対策推進計画の進捗状況

 青森県では、青森県のがんを取り巻く現状や課題等を踏まえて、青森県のがん対策を総合的に推進するため、青森県がん対策推進協議会を設置しています。その中で、専門家より意見を聞いて、青森県がん対策推進計画の進捗状況について評価しています。
 がん対策推進計画の進捗状況については、以下の資料をダウンロードして、参照してください。

「第二期青森県がん対策推進計画(平成25年3月策定)」目標値の進捗状況(平成29年2月開催:青森県がん対策推進協議会資料)[110KB]

 

3 具体的取組について

 具体的な取組については、以下の資料をダウンロードして、参照してください。
※参照:

平成29年度の取組[2668KB]

平成28年度の取組[3000KB]

平成27年度の取組[1567KB]

平成26年度の取組[901KB]

平成25年度の取組[749KB]

※参照:「青森県庁ホームページ」(青森県がん対策推進協議会)

 

4 青森県におけるがん検診事業の実施に関する要綱等

 青森県のがん死亡率の減少に向けて、県全体で重点的にがん対策に取り組む必要があります。
 この中で、がん検診に関して、県、市町村、検診実施機関および関係機関が共通認識の下で、県民に対して科学的根拠に基づく適切で質の高いがん検診事業を提供する必要があります。

 以上を踏まえて「青森県におけるがん検診事業の実施に関する要綱」等を策定し、市町村が行うがん検診事業の実施方針を示しますので、以下の資料を資料をダウンロードして、参照してください。

※参照:青森県におけるがん検診事業の実施に関する要綱
    附属資料1(青森県の現状と課題)
    附属資料2(青森県におけるがん検診事業の精度管理に係る技術的指針)【子宮頸がん検診】 【乳がん検診】 【大腸がん検診】 【胃がん検診】 【肺がん検診】 【各種様式はこちら】
    附属資料3(青森県におけるがん検診事業の実施状況一覧)
    附属資料4(青森県における科学的根拠に基づくがん検診推進委員会名簿)
    青森県におけるがん検診事業実施要領
    (参考)実施要領対応表一覧
    要綱等策定に関する説明

 

 

 

◇青森県がん対策推進条例◇

青森県がん対策推進条例が平成28年12月16日に公布・施行されました。

青森県がん対策推進条例の概要[186KB]

青森県がん対策推進条例(平成28年12月16日公布・施行)[120KB]

 

 

1 青森県の平均寿命

 青森県の平均寿命は、男女ともに全国最下位(図1)です。

青森県の男女と全国の平均寿命の推移を比較すると昭和40年からずっと青森県は全国平均を下回っていることを表した折れ線グラフ

図1 平均寿命の推移

(出典:平成27年青森県版生命表の概況)

 

 がんによる死亡率が高いことが、平均寿命に大きく影響(図2)しています。
 がん(悪性新生物)による死亡がなくなると、男性では4.07年、女性では3.15年、平均寿命が延びます。

青森県の平均寿命について「がん」による死亡を除くと大きく平均寿命が延びることを表した縦棒グラフ

図2 主な特定死因を除去した場合の平均寿命の延び

(出典:平成27年都道府県別生命表の概況)

 

 青森県の平均寿命が短い理由の一つとして、働き盛りの若い方が亡くなっていることが挙げられます。長寿日本一の滋賀県(男性)・長野県(女性)と青森県の年代別死亡率を比べてみても、青森県は、40代・50代の働き盛り世代の男性の死亡率が高くなっています。(表1)

青森県と滋賀県の男性、長野県の女性の人口10万人当たり死亡率を比較すると青森県は40~59歳の男性の死亡率が滋賀県の約2倍となってることを表した一覧

表1 年代別死亡率の比較(左:男性、右:女性)

(平成27年人口動態統計特殊報告 都道府県別年齢調整死亡率・年齢階級別死亡率(人口10万対、全死因、男女別)よりがん・生活習慣病対策課が作成)

 

2 青森県のがんによる死亡状況

(1) 青森県のがんによる死亡状況その①

 青森県では、昭和57年からがんが死因の第1位です。
 平成28年の青森県のがんによる死亡数の割合は、29.1%で、死因の第2位である心疾患の2倍の割合を占めることから、年間にいかに多くの方が、がんにより亡くなっているかわかります。(図3左)
 近年では年間約5,000人の方ががんで亡くなっています。(図3右)

青森県の死因別死亡数の割合で「がん」による死亡数が29.1%を占めており年間約5000人の方が「がん」が原因で死亡していることを表した円グラフおよび一覧表

図3 青森県の死亡の状況

(出典(図3左):平成28年青森県人口動態統計(確定数)の概況)

(出典(図3右):国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・がん統計」)

※参照:「平成28年青森県人口動態統計(確定数)の概況」(青森県健康福祉部健康福祉政策課)

 

(2) 青森県のがんによる死亡状況その②

 平成28年のがんの75歳未満年齢調整死亡率(※1)(人口10万対)は、男女計93.3、男性121.9、女性69.2となっており、いずれも全国で最も高い値となっています。(図4及び表2)
(男女計及び男性は、平成16年から13年連続、女性は平成24年から5年連続で全国で最も高い値)

※1 75歳未満年齢調整死亡率とは・・・
参照:「国立がん研究センターがん情報サービス」(年齢調整死亡率)
参照:「国立がん研究センターがん情報サービス」(都道府県別75歳未満年齢調整死亡率)

青森県および全国の男女別がんの75歳未満年齢調整死亡率の平成13年からの推移において青森県が男女ともに全国平均を常に上回っていることを表した折れ線グラフ

図4 都道府県別がんの75歳未満年齢調整死亡率年次推移

(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」)

 

 

男女計
順位 都道府県 順位 都道府県 順位 都道府県
1 青森 93.3 1 青森 121.9 1 青森 69.2
2 秋田 87.4 2 秋田 115.0 2 北海道 66.4
3 北海道 85.6 3 鳥取 114.3 3 佐賀 64.0
全国平均 76.1 全国平均 95.8 全国平均 58.0
45 富山 68.3 45 三重 85.2 45 長野 50.6
46 山梨 67.6 46 山梨 83.4 46 富山 50.3
47 長野 62.3 47 長野 74.8 47 岡山 49.1

 表2 がんの75歳未満年齢調整死亡率都道府県順位(平成28年、値の高い方から)

(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」)

 

 75歳未満年齢調整死亡率(平成28年)と死亡率改善率(平成18年-平成28年)を他県と比較した図を見ても、死亡率が高いだけでなく、改善率が低く、青森県の状況がいかに深刻かわかります。(図5)

人口10万人あたりの75歳未満年齢調整死亡率及び死亡率改善率において青森県がダントツで高死亡率であり低改善率であることを表した分布図

図5 75歳未満年齢調整死亡率(平成28年)及び死亡率改善率(平成18年-28年)

(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」よりがん・生活習慣病対策課が作成)

 

3 青森県のがんの状況

 平成25年において、男性では胃がんにかかる人が最も多く、大腸(結直腸)がんと肺がんがそれよりやや少ない状況でした。また、前立腺がんは肝臓(肝および肝内胆管)がんよりも多くなっています。(1位:胃がん、2位:大腸がん、3位:肺がん、4位:前立腺がん、5位:肝臓がん)
 女性では乳がんにかかる人が最も多く、大腸(直結腸)がん、胃がんがそれに次いで多い状況でした。また、子宮体がんおよび卵巣がんが子宮頚がんよりも多い状況でした。(1位:乳がん、2位:大腸がん、3位:胃がん、4位:肺がん、5位:膵臓がん)(図6)

部位別のがんの男女別の人数状況を表した横棒グラフ

図6 部位別のがんの罹患状況(平成25年の1年間でがんにかかった人の数を部位別に表した図です。)

(出典:青森県がん登録報告書平成25年分集計)

 

4 青森県のがんの特徴

(1) がんのステージ(※2)と生存率(※3)について

 がんが進行してからでは、生存率が格段に低くなります。
 早期受診の重要性を示す指標として、がんの生存率についての統計データがあります。(図7)
 この統計では、ステージ毎のがんの生存率がわかります。主要な5つのがん、すなわち、肺がん、胃がん、大腸がん、子宮頸がん、乳がんにかかった方の生存率は、初期段階であるステージⅠでは、約83%から99%と高いですが、最も進行した状態であるステージⅣにおいては、約5%から32%と、非常に低いです。

※2 ステージ(病期)とは・・・がんの進行の程度を示す言葉です。ローマ数字が使われ、数が大きくなる程病気が進行していることを示します。

※3 生存率とは・・・ある一定の期間経過した集団について、その時点で生存している患者さんの割合を示します。治療後5年以上経つと再発の可能性が大きく減るため、治療の目安にしています。

各種がんの病期別の5年生存率はステージが上がるごとに低くなっていくことを表した棒グラフ

図7 がんの病期別5年生存率

(出典:全がん協加盟施設調査(2004-2007年症例))

 

(2) 青森県のがん罹患率(※4)とがん死亡率について

 青森県では、がん罹患率が全国平均並みとなっているにも関わらず、全国に比べて人口当たりのがん死亡率が高いことがわかっています。(図8)

※4 がん罹患率とは・・・がんにかかる人の割合を言います。

青森県と全国の男女別がん罹患率と死亡率の比較した場合、青森県は全国平均より男女ともに高い状態にあることを表した表

図8 青森県と全国の比較 がんの罹患率と死亡率(全部位 左:男性、右:女性)

(出典:青森県がん登録報告書平成25年分集計)

 

 青森県のがん罹患率が全国並みなのに、死亡率に開きがあるのはなぜでしょうか。
 図9では、がん患者がどの段階でがんと診断されたかについて示しています。これを見るとわかるとおり、青森県は、全国に比べ、限局(つまり、最初に発生した臓器以外に全く広がっていない状態)でがんが発生している割合が少ないことがわかります。
 言い換えると、進行してからがんが発見される割合が高く、早期発見が少ないことがわかります。

全てのがん部位に関する診断時病期割合を青森県と全国で比較すると青森県は早期発見が少ないことを表した積み上げ横棒グラフ心配顔のマモルさんイラスト

図9:青森県と全国の比較 診断時病期(全部位(※上皮内がんを除く) 男女計)

(出典:青森県がん登録報告書平成25年分集計)

 

 

 

 

 

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