乳がん、甲状腺がん(発症時:35歳)

収録時:43歳

女性

総時間:15'38"

下↓の▶ボタンをクリックして音声を聞く事ができます。

目次

00'03" がんとわかったきっかけ
01'33" がんと知った時の気持ち
03'17" 家族への思い、家族の思い
03'56" 治療(手術や入院)について
09'27" 職場や周囲の人との関わり
11'43" がんを体験したからこそ伝えたい思い~メッセージ~



00'03"がんとわかったきっかけ

 

――がんと分かったのは?何か自覚症状はあったんですか?

 

3年くらい良性ということで、定期的に検査はしていました。3か月に1回をずっと繰り返して、それが6か月になって、それが1年に1回になって、からですね。しこりが無い状態で、良性ということで通ってたんですが、しこりが出来てしまいまして、もう気がついた時は結構大きい状態で。
 最初はなんかレントゲンには石灰化が散らばってる状態。というのを言われました。

 

――最初に受けるきっかけは何かあったんですか?

 

はい。下着を着替えるとき、ブラジャーをはずした時に、内側にシミがついてたんですね。
毎日つくんですね。それで、あれっ、おかしいなあ、と思って病院に行ったのがきっかけで、その時は良性ということで安心していたんですが。

 

――そして3年後にしこりが出来ていました。どんな気持ちでしたか?

 

年齢的にもまだ30歳代だったので、良性だろう。って思ってました。
 良性でしょう、と自分で言い聞かせてはいるんですけれども、もしかして?っていう思いはやっぱりありますよね?まさか、うーん、まさか自分がね、がんになると思っていなかったので。

 

――それが明らかになったのは?



01'33"がんと知った時の気持ち

 

まず、病院に行って、しこりが出来たんですということで、いつものようにレントゲンを取って。次の診察の時に、もうカバンを置くか置かないかの時にもう、いやあ、この間のレントゲンの結果はがんだね、と。さらさらっと、あっさり告知されまして。あっ、こんなにあっさり告知されるもんなんだな、と。びっくりしたのと、もう、あんまりほとんど覚えてないですね。もう、真っ白、真っ白。頭が真っ白になるっていうのをその時初めて経験しました。

 

――真っ白の次に、頭によぎったことって何かあるんですか?

 

あと、どのくらい生きれるのかなあって思いました。30代だったので、あと、どのくらい生きれるのかなって思いましたねえ。

 

――それまで、がんのイメージって何かあったんでしょうか?

 

父をすい臓がんで亡くしているので、やはり、がんイコール死。っていうのが私の頭の中にはあったので、やっぱり、がんですって言われたときには私にはもう40代はやって来ないって思ってたので、30代で終わってしまうんだろうなって思いが強かったですね。


03'17"家族への思い、家族の思い

 

――ご家族の反応はどうでした?

 

母はびっくりしてましたね。やはり、父をがんで亡くしているので、まさか、娘のお前も?という感じだったと思います。
 それから、数年後に私、甲状腺がんを経験するんですね。再発とか転移ではなく。新たに、甲状腺がんを経験するんですが、そのときに、母はボソッと出来やすい身体なのかなあ、って言ってたのが、すごく印象的でしたね。



03'56"治療(手術や入院)について

 

――そのあとは、どんなふうに治療の計画って進んでいったんでしょうか?

 

乳腺の先生に次の診察から診ていただいて、手術とかの計画ですね。先に手術をしてから、抗がん剤治療をしたほうがいいです、ということだったので、まず、手術をしましょう。ということで、手術日の計画を立てて、抗がん剤と放射線治療は、先にどっちをやってもいいよ、っていう選択を与えられたので、やっぱりどうしても抗がん剤治療はやりたくないので先に放射線治療して後から抗がん剤治療というかたちの治療方針の計画を立てました。先生と一緒に。
 納得はして治療はしていきました。

 

――術後の治療はどうなったんでしょうか。

 

術後の治療は、まず入院中は、動かしてください。ということで、リハビリみたいな感じで。乳がんの患者さん何人かで集まって、体操するんですよ、ビデオみて。軽く動かせる範囲で。動かさないと、そのあと、病後、動きが悪くなるらしいので。あと、そういう同じ患者さん同志が集まれるのでお話ができて良かったです。年齢的にはすごい離れているんですけど。そういう出会いもありました。

 

――手術の後、退院して通院で放射線治療。

 

部分切除だったので放射線治療しないとならないので、私は全部で30回。月曜日から金曜日まで毎日通うので30回なので、だいたい1か月半、通いました。

 

――抗がん剤治療はされたんですか?

 

抗がん剤治療と分子標的薬の治療もしたので、化学療法室にはだいたい1年半。3週間に1回で通いました。

 

――治療中はどんな心境でしたか?

 

抗がん剤治療中、一番最初の薬がやっぱり強いので、一番最初の試練が脱毛ですね。抜け出すと止まらなくて、それが気持ち悪いんですね、もう抜けて抜けて抜けて、どこまで抜けるんだろううってくらい抜けてしまって。それが、一気に抜けるわけじゃなくて、もう毎日ボソッ、ボソッと抜けるんですが、その、まず最初、脱毛との闘いから始まりましたね。本当にもうどんどんお薬の種類が変わると、脱毛の力も強くなるのが身体に入るんですが、髪の毛はもちろんなんですけど、眉毛もまつ毛も鼻毛もうぶ毛も最終的に無くなるので、それはもうびっくりしましたね。うぶ毛も無くなるんだなあ、と思いまして。

 

――痛みがあったり、だるさがあったりっていうのはあるんですよね?

 

そうですね。脱毛の次にくるのが、だるさ。もう何とも言えないだるいのがきますね。

 

――これから抗がん剤治療を受けようと今お話を聞いている方もいると思うんですけれども、心の持ちようとか、何かアドバイスできることはありませんか?

 

そうですねえ。大丈夫、大丈夫って自分に言い聞かせて耐えました。
 例えば、抗がん剤を受けると吐き気もするんですが、我慢をしないで副作用止めのお薬は飲んだほうがいいと思います。すごい効くので。最初、私も我慢してあまりお薬飲みたくないなあと思って、我慢して、吐き気止め飲まなかったりしたんですが、飲んだら、すごく私には効いたので副作用止めのお薬もかなり効くので我慢をしないで、それは使った方がいいと思いますし、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫って自分に言い聞かせてがんばりました。

 

――先ほどお話にありました次のがんが?

 

それから2年後くらいに乳腺の先生に診てもらっている時にホルモン治療もしてたんですが、ホルモンが出ないようなお薬も飲んでいたので更年期のような症状が先生に強いんです、ってずっと訴えていたんです。先生が自律神経のほうかなーっておっしゃって、甲状腺の検査したことある?してみようか。ということで検査をしたら見つかった、っていう。本当に良かったとな思いまして。言ってみるもんだな、と思って。



09'27" 職場や周囲の人との関わり

 

――自分の気持ちとか、相談できる方っていらしたんですか?

 

いとこが結構まあ叔母とかいとこが、私が抗がん剤治療中につらかった時に結構気にしてくれて家にこもらないようにいろいろ外に連れ出してくれたりしてたので、叔母に話したりとか、いとこに話したりとかは、しました。なんか、でも、母にはつらいのはちょっと言いにくかったですね。心配かけたくないから。でも、言ってるのは、言ってるんですけど、言いにくい。心配かけさせたくないっていうか。

 

――ご親族の他にも、同じ悩みを共有できたりっていう存在のお仲間がいらっしゃるんですね。

 

今は、その同じ病気の仲間がいるので、たいへん楽しい時間を今は過ごしていますね。
 がんを経験して、がんになって良かった。と、までは、今はまだ言えないんですが、がんを経験したからこそ、今の人生がすごく楽しいです。がんを経験する前よりも、今の人生の方が楽しいし、キラキラ輝いているな、というのをすごく感じます。
 同じ病気をしている仲間に出会えた時に、すごい頑張って言うんでしょうかね、すごいキラキラ輝いて生きてるんですね。素敵だなあと思って、私も頑張ろう、っていう思いがすごく溢れてきて。



11'43"がんを体験したからこそ伝えたい思い~メッセージ~

 

――今の生活で気をつけているってことは何かあるんでしょうか?

 

やはり、再発というのがいつも付きまとっています。なんかだるい、あそこが痛い、ここが痛いって思うと、あれっ、なんか再発なのかな?とか転移なのかな?って思ったりもするので、例えば、お風呂入った時に胸のチェックとかは定期的にやるようにしてます。

 

――とても元気に活動されているご自身のバネになっているものは何なんでしょうか。

 

バネになっているのは、今、リレー・フォー・ライフ、というのに出会えて仲間がいっぱい居るんですね。まず、がんを経験した仲間だったりとか、ご家族にがんを経験してるご家族がいらっしゃったりとか、がんを経験している方が周りにいない方とかも居るんですけども、いろんなジャンルの方が居るんですが、そのメンバーと、その活動をしていくことで刺激し合ったりとか、定例会、ミーティング。ミーティングもメンバーに会えるから、うれしいから行く。あと、みんなで作り上げるのが楽しいですね。

 

――今、がんの不安と闘っている、落ち込んでいる方がいるとして、何を伝えたいですか?

 

治療中でつらい方もいると思うんですが、自分も治療中は真っ暗なトンネルの中に放り出されて、もがいている状態だったんですね。でも、いつかはそのトンネルから抜け出せる時が来ると思うので、ゆっくりゆっくり前に進んでいってもらえたらなあ、と思います。

 

――がんを体験したからこそ、伝えたい事っていうのは他にありますか?

 

早期発見、早期治療というのが大事だと思います。やはり発見が遅れると、傷も大きくなりますし、場合によっては抗がん剤治療とかしないとならなくなったりもするので、早期発見、早期治療をしていただければと思います。
 やはり、特に女性だと胸とか婦人科系とか、痛いとか怖いとか恐怖があると思うんですが、怖がらずに検診を受けていただいて、安心をもらって来るといいかなあと思います。まあ、ちょっと痛かったりもするので。その代り、安心のご褒美をもらえると思って検診を受けて頂ければ、うれしいです。
 特に婦人科系とかマンモの検診もまだまだ検診率が低いと思いますので、芸能人のかたが今いろいろ乳がんになられたということでいろいろ発表されてから、かなり検診率が上がっているようなんですが、それでも、まだまだだと思っているので、検診率を上げたいな、上げてもらえればな、と思います。