乳がん(発症時:43歳)

収録時:59歳

女性

総時間:12'12"

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目次

00'03" がんとわかったきっかけ
01'38" がんと知った時の気持ち
03'15" 家族への思い・家族の思い
03'57" 職場や周囲の人との関わり
04'28" 治療(手術や入院)について
10'02" 支えとなったもの
11'06" がんを体験したからこそ伝えたい思い~メッセージ~


00'03" がんとわかったきっかけ

 

――どのようなきっかけで病院を受診されたんですか?

 

乳がん検診とか大腸、住民健診のほかにそれを受けていて、検診で受診して病院の方に行って検査してもらった方がいいですよ、っていうお知らせの紙が来たので、それで受診することになったんです。

 

――検診で精密検査、もっとくわしい検査をした方がいいですよっていうお知らせがきまして、病院を受診されたんですね?それで、いかがでしたか?

 

その時は何にもないですよ、と。別に何にもないけども、定期的にですね、半年に一回、経過観察っていうのをやりましょうと。経過観察っていわれているので怖いので真面目に半年ごとに行っていました。
 ある時ですね、次回の検診、そろそろ予約入れなくちゃいけないなと思ったときに、何か風呂に入っていて、あ、変だなと思って。これは経過観察待つ前に、先に行った方がいいなと思ってすぐに見てもらったんです。
 そこでやっぱり先生の方も、じゃあ詳しい検査をしましょうと。様々検査をして、最終的に先生の方からあの、そうですよ、ということで、言われました。



01'38" がんと知った時の気持ち

 

――がんにかかったとわかった時はどんなお気持ちでしたか?

 

まず、心の余裕があったんですね、まだその時は。定期的に(検査も)やっているし、親もがんだったし。祖父もがんだったので、いずれはそういう風になるかもしれない。だけども早期発見なので、もしかしたら大丈夫かもしれないっていう気持ちでいました。
 まずショックにはショックでしたけども。

 

――よく頭が真っ白になった、とか。

 

あーもう、なります、なります。うん、なります、涙は一粒くらい。あははは、その時は。わかりましたって言って、じゃあ詳しい検査のことは、看護師さんとやりましょうねっていう感じで。セカンドオピニオンもあるけども、どうしますか?って言われてたんですが、いや、もうわかっているんだったら先生にお願いしたい、っていうことで。

 

――その段階でお話は結構進んだんですか。治療についての。

 

その時はまだ。それからまず、詳しい検査をして、それからですね。手術はこういう風になりますとか、そういう風な検査をして。前の段階踏んで、手術して、それからその後の治療の計画ができるという。



03'15" 家族への思い・家族の思い

 

――ご家族には話されましたか?

 

はい、すぐ話しました。
 病院に行くっていうのはわかっていたし、検査もあるから、もしかしたらそうかも、わかんないからっていうことは言ってあったので。で、帰ってきて「どうだった?」って言ったから、「うん、そうだったよ」ってことになって。いつ手術になるかわかんないから、電話待ち、ということで。

 

――ご主人はなんと?

 

仕方ないんだって。もうなったらなったで先のこと考えなさいって言って。

 

――お子さんたちは?

 

「先生と相談してやった方がいいよ」って言って。



03'57" 職場や周囲の人との関わり

 

――お仕事はされていたんですか?職場の方には伝えられました?

 

はい、やっぱり手術してお休みを頂くことになるので、あの、上の人には話しました。

 

――どんな反応でしたか?

 

いや、大変だけども頑張って戻って来いよ、って言われました。
 これでがんになったからって仕事を辞めてしまうとまた大変だな、って思って、戻って来いよって言われた時には嬉しかったです。



04'28" 治療(手術や入院)について

 

――がんとわかってから手術するまで、どの位の期間があったんですか?

 

ちょうど2か月ですね。

 

――その後治療はどのように進んでいったんでしょうか?

 

その後はですね、ホルモン治療っていうのを始めたんです。お薬と注射とで、やっていました。

 

――通院をしながら、お仕事は続けて?

 

1か月お休みを頂いていたので、それから続けて。お仕事しながら。

 

――その後はどうなったんですか?

 

その後ですね、手術してから8か月後に骨に転移が見つかったんです。骨に転移があったので、そこで抗がん剤をやりましょうということで。

 

――骨に転移が見つかりましたと言われた時には?

 

自分で背中が痛くなったんですね。「先生、背中が痛いです」ということで、先生の方も「じゃあ骨の検査をしましょう」ということで。骨の検査をした結果、結局見つかったと、ということです。

 

――どんな気持ちでしたか?

 

その時は手術すればもう治るもんだと、もう早期だからもう治るって、絶対バッチリ、なんて思っていたのに、やっぱり骨転移、となると、これ、話が変わってくるぞと。その時に医学書を見て、骨に転移すると何年生存。次、肝臓にいくと何年生存とか、そういう風な情報を見るわけですね、本屋さんで。今考えると、本になった時点で医学って進んでいますよね。だから、もう骨に転移したから、私、あともう5年なんだ、って思った時点で、でも医学はもう進んでいるから違うわけですよね。冷静になって考えると。でももう私、あと5年だと。もしかすれば医学が発達してるから10年生きられるかどうかわからない。60まで生きられるかどうかわからないって。ずっとそういう風に思っていました、その時は。

 

――骨の転移が見つかって、抗がん剤治療が始まったんですか?

 

分子標的といって、比較的、あの、強い副作用が出ないお薬なんですけれども。それをしばらく使いました、10か月程。1週間に1回で3回やって1回お休みなんですよ。だから1か月4回、まず病院に行かなくちゃいけない。朝から午後までかかると。そういうふうな感じで1日拘束されるわけですし、1週間に1回ですね、血管の方も切なくなってくるし。ゆるくないですね。

 

――一番辛かったのはどんな部分ですか?

 

その後もあの、抗がん剤を別なのに変えることになったんですね。あまり治まってない、ということで。別な薬を使うことになって。2年近く、1年10か月位やることになるんですけど、その間でもやっぱり、違うところにも転移が見つかったので、違う薬を始めることにして。その間やっぱり、副作用も強く出て、髪の毛も抜けたりとか、手足の痺れとか、爪の光沢もなくなってくるし。あとは、お金ですね。後で戻ってくるって言っても出さなくちゃいけないですからね、やっぱり大変ですね。

 

――治療中に不安なこととか、辛いことはありませんでしたか?

 

うーん、なんで抗がん剤やっているのに次々と転移していくんだろうって思ったんですよね。結局、最後は背中と肋骨と、腰の骨とか脇腹とか、そういう風にいっちゃったんで、悪くなっていったら、このままどうしようとか、そういうのはありました。

 

――お医者さんには聞きました?

 

聞いたんですけどまず、治るまで一生懸命やりましょうと。ある先生が、たまたま点滴ルームで一緒になった時に、雑談のときに、あと10年頑張って生きてみろ、って。生きるんだよ、あと10年頑張れって、今アメリカでいい薬できているからって、すごくいい薬だからって、とにかく頑張れ、って言われて。ああ、そうだなあ、って思って。その時はその言葉に助けられました。


――そのほかに不安に思ったことってありましたか?

 

やっぱり髪の毛が抜けるとやっぱりね…女の人はちょっとね、切ないですね。あとはお風呂に入れないっていうこと。温泉、銭湯は入れないですね。その当時は入れなかったです。


10'02" 支えとなったもの

 

――今ご自身にとって、支えになっているものってなんですか?

 

やっぱり感謝ですね。家族にしろ、お友達にしろ、患者会の人にしろ。感謝ですね。やっぱり、ありがたかったですね、支えてもらって。

 

――今患者会の活動もされているんですよね?どうですか?

 

やっぱり同じ悩みを持っている人達の集まりなので。今手術したばっかりの人たちの悩みもわかるし、年を踏んできた人達の気持ちもわかるし、どういう風にして楽しんで行くかっていう事もわかるし、楽しいです。がんになったからって怖くないよ、って。楽しめるよって。色んなこと悩み、うちの人に言えない悩みもあるかも知れないけれども、まあ、集まって話しながら、雑談しながらでも、それでもいいんじゃないかなって思っていました。


11'06" がんを体験したからこそ伝えたい思い~メッセージ~

 

――今、ご自身のがんを振り返って、どんな思いですか?

 

色々ありました、やっぱり。なったばっかりの時には何が悪かったのかなとか、酒飲んだのが悪かったのかなとか。バチが当たったのかなとか、色んなことを思ったんですけどもね。今は、いいとは言えないけども。やっぱり。自分の健康には気を付けるようになりましたね、家族のこととか。

 

――がんを体験した今だからこそ、一番伝えたいこと、何でしょうか?

 

早期発見っていうか、早めに見つかったということが、良かったんですね、だから検診は行った方がいいし、検査を受けて下さいっていう用紙が来た時には、行った方がいいですね。何でもないよ、って言われたとしても、行った方がいいと思います。