乳がん(発症時:59歳) 収録時:65歳 女性 総時間:11'42" |
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目次
00'03" がんとわかったきっかけ
01'32" がんと知った時の気持ち
04'04" 家族への思い・家族の思い
05'06" 治療(手術や入院)について
09'50" 支えとなったもの
10'32" がんを体験したからこそ伝えたい思い~メッセージ~
00'03" がんとわかったきっかけ
――病院を受診するきっかけは何かあったんでしょうか?
健診センターで検診しまして、毎年検診しているんですけども、その女性特有のだけは10年前に受けたきり、受けたことがないので、そろそろ10年だからマンモを撮ってみようかなって、ということで、マンモを取ったんですね。そしたら、「できたらすぐに受診して貰いたい」っていう事をその場で言われたので。
最初の10年前のときは、はじめやった時は石灰とかっていうので、精密検査までいって、「これ大丈夫ですね、石灰ですから」っていう事だったので、個人病院行った時に、「石灰っていうのはみんな集まれば、群(ぐん)になれば、がんになるんだから。ちゃんと検診受けるんだよ」って、私、言われていたんですが、軽く考えているふしがあったので。結局自覚症状も何もないので検査も受けてなかったし。
――自分では気づかなかったってことですよね?
全然気づかないです、後になってから乳がんなんですけど、乳がんだけは自分で唯一わかる、触ってみてわかる、自分で発見できるんですよっていうのも、なってから色々聞いて。そうだったのかってつくづくそう思いましたね。
01'32" がんと知った時の気持ち
――がんだと言われた時には、どんな心境になりました?
朝9時に行って下さいっていうので行って。で、色々先に検査したんですよ。先生の話とかじゃなくて、先に検査だから、おかしいなあって思ったんだけど、もう完全にそういうのがわかっていたと思うんですよね。疑いとかじゃなくて、もう完全に。だから先に検査をして、遅くなってから診察で「完全なるがんですから」って。「ああ、そうですか」って。その時は本当に、えーがんってやっぱり死ぬのかなーって。そして先生は、方法とかも2回、2つ種類があるから、どっちがいいか選びましょうとかって言ってくれて。その日のうちに、治療方法2つあるけれども、抗がん剤で小さくしてから手術するか、で、「それすれば、抗がん剤をすれば、しなくても済むんですか、手術?」って言ったら「そうじゃないよ」って。やっぱり小さくしてからもう取る、と。「じゃあそのままでも取るんですか?」「そうです」って言うので。「じゃあ抗がん剤なんていりませんから、さっさとやります」って、もう2週間後位かな。最短でこの日が空いているから、この日にしましょう」って先生が言って、その時点でもう、手術をします、ってその場で決めたんですよ。だから私も、まあ取ってしまえばそれで終わり、と思っていたから、その時もこう安易に死ぬのかなって思ったんだけど、先生も「いやこれはね、手遅れではないんだけれども、もう本当に命に関わるのだから、早くした方がいいんじゃないか」って。手遅れではないけどもって言葉だけ頭にあって、もう「じゃあ、すぐします」って。
――その時、頭をよぎったのはどんな事ですか?
うん、やっぱりただ、「死」っていうのだけですね、うん。手遅れではないけれど、って言ったから、じゃあ大丈夫だ、その程度の事で、あんまり深くは考えないんですよね。仕方ない、なるものはなったんだから、取ってしまえばもういいんだから、じゃあ手術して、うん、たまに今まで何十年も働いてきて休んだこともないし、まあ2週間位だったら休んでもいいだろう、くらいのもので。そういう風な気持ちで、なんていいますかね、あんまり深く考えないんですよね。
04'04" 家族への思い・家族の思い
――ご家族には話したんですか?
「がんになったんだよ」って言ったら「えー」ってまず。うん、なんか、でもねって、「手遅れじゃないから手術すれば治るんだって」って言ったら「いやー」とか言って、息子も娘も私よりももう、びっくりしたっていうから。家族の方がどういう思いだったのかな、っていうのは後になって感じるんですよね、うん。自分は自分だから、まあ例えば亡くなっても、自分が悪くてそうなるんだからなんてことないけど、家族は見ていて、自分達はなってないのに、気持ちとかっていうのが、どういう気持ちだろうな、とかって子供達が思うって考えたときに、やっぱりあの本人は本人で辛いんですけども、家族の方がもっと切なかったんじゃないかなって後になってこう、じわーっと、うん、考えましたね。
05'06" 治療(手術や入院)について
――手術はどんな風に進んだんですか?
8時位になんか点滴をして、それからもうそのまま気が付いたら夕方だったので、ええ、何かちょっと予定よりも2時間くらいオーバーしたっていう事でしたね。片方だけを取るはずだったんですけども、あの両方開いてみますからって。検査の時は、左側には何にもないので大丈夫ですけども、とりあえず開いてみますっていうのは聞いていました。そしたら終わった時に、左の方は全く種類の違う、強い転移型の飛んで歩くがんだった、という事だったんですよ。右側を、手術することになっていて、それはその単体でただただ大きくなるだけだから、破裂するまでなんていうことはない、静かなキラーじゃないがんだったそうです。ところが開いてみた時に、左側の方が、今まさに飛んでいくような感じで、飛んで歩く前に見つかったからって。それも病理検査してみないと、再検査になるかもしれないからって、終わってから「あの左側はどうだったんですか?」って聞いたら、あの、再検査しなくてもいいし、よかったって。ただこっちの方はあの、これからもいつも検診の度に気を付けないと、暴れて飛んでいくがんだから転移すれば困るからって、っていうのは言われました。
――手術の後は?
4週間で25日放射線をかけて、次から今度、飲む方の薬の抗がん剤で。
――体調が悪いとか具合が悪いはあったんですか?
そういう事はないです。副作用もないし。でも、1年抗がん剤飲めばいいって言ったんですけども、ちょっと頑張ってあと1年飲みましょうって。やっぱりその抗がん剤もちょっと私の飲む方は、人よりも長かったですね、2年飲んだので。普通は大体1年だそうです。で、放射線も10回~15回が普通なのに、私は25、27回だかって。「ええ、これちょっと長いねって、多いね」って話を、放射線の先生も「多いね」って言ったんですけど、それ位で。病院に行って朝早く8時半頃に行って放射線かけたら、11時までテレビ見てそこで時間潰して、そこからちょっと、いつも行く行きつけの薬屋さんがあるので、そこへ行って、時間潰して。そして2時、3時になったら帰って、あと、自分のあの、例えば掃除とか洗濯とかご飯支度とかってそういうのをして、夜になったらまあ寝る。そういうのを1か月繰り返して、だからあの、人に会わないと今でもそうなんですけども、何かこう、不安なんですよね。で、何にもなければ、普通は自分の時間があっていいとかっていうんですけど、あのリラックス出来ないんですよね。もう本当に誰かと会ってないと不安っていうか。なんかいっぱい仕事があれば、仕事っていうか色んなボランティアとか何とかしていますけど、そういうのがないともう、今月のスケジュール、日曜日何にもないな、とかっていえば、いや何かないかな、ないかなって。うん、そういう風な感じでね。
――治療はいつまで続いたんですか?
いや、その時は、放射線は1か月で終わって、後はずっと4か月に1回の検診と、あとは、薬はまだホルモン剤とか骨の薬は飲んでいます。で、5年で終わりますからっていう話だったんですけど、3年目になったら「10年の方がいいですから。10年検査して、薬も10年飲みましょう」って言ってもう、あと2年で終わるなあって思ったのが、あと7年も。いやー、長いなと思って。そしたら今、学会の方で、何かあの、10年説の方が再発しないから、そっちの方がいいっていう事で。「6か月過ぎると再発していても危ないから、6か月は必ず守って来て下さい」って言うので、今6か月に1回、1年に1回、検査を受けています。
――経済的なものとか、いかがでしたか?
そうですね、経済的なことは本当に、まあ、大変だったんですけども、割とお金はかからなかったと思います。高額免除でしたか、それを使いまして。経済的にはゆるくなかったね。
09'50" 支えとなったもの
――今、ご自身にとって支えになっている事は何ですか?
そうですね。皆さんとあの、支えっていうのかな。仕事は60歳で定年なんですけども、会社の方ではまず、70歳位までは来てもいいよって言われているので、事務職ですし。だから、きちっと決まった仕事があるっていうのが支えだし、その他にもボランティアみたいなのをしたり、リレー・フォー・ライフとかよろこびの会とか。だから支えっていうのは、仕事とかそういう活動とかそういう風な事ですね。
10'32" がんを体験したからこそ伝えたい思い~メッセージ~
――ご自身のがんの体験を振り返って、一番伝えたい事は何ですか?
やっぱり検診を受ける事。受けたら男の人なんかは、いやー再検査とかって言われているけど、行ってないとか、怖いから、その大腸がんの疑いがあるっていっても、まだ行ってないとかって、男の人、特に言うんですよね。だからそういう検診を受けて、良かったらいいし、少しでもなんか言われたら、きちっと検査を受けて、何でもなければそれでいいんですから。やっぱり早期発見っていうのが非常に大切って。早期発見なので、皆さんは、検診を受けた方がいいと思います。で、みんなこう受けているような気はするんですけども、県のグラフとか見れば、青森県の受診率が低いっていうから、いやー話を聞いている分には皆さん受けているみたいなんだけども、統計的には低いんだな、って見るので、やっぱり受けた方がいいんじゃないかな、と思います。