乳がん(発症時:48歳)

収録時:53歳

女性

総時間:10'36"

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目次

00'03" がんとわかったきっかけ
00'53" がんと知った時の気持ち
01'20" 職場や周囲の人との関わり
01'59" 治療(手術や入院)について
03'09" 職場や周囲の人との関わり
04'04" 支えとなったもの
07'20" がんを体験したからこそ伝えたい思い~メッセージ~


00'03" がんとわかったきっかけ

 

――ご自身で違和感を感じて、医療機関を受診されたということなんですか?

 

お風呂に入っている時に、自分で鏡を見て、時々検診みたいなことをしていたんですけれども、子供を15年前に産んだ時に違和感を覚えたところと同じ所が、やはり、変な形だなあ、と思ったのがきっかけで。たまたま医療機関に勤めていたし、マンモグラフィもあったので、気安く検査でもしてみようかなって。
 固いのは無いんだけど、エクボができるぞ、って。これは中の方で何かが、ひきつっているんだなって、異常だなって。『エクボ症状』っていうのは、習った事があったので、あっ、これはやばい、っていう感じですね。


00'53" がんと知った時の気持ち

 

――分かった時のお気持ちはどんなお気持ちで?

 

とうとう私にも来てしまったか、という感じですね。何人に一人は乳がんっていう、「がん」じゃなく「乳がん」っていうふうになったから、漠然と乳がんは身近だなって思っていたし、自分の職場でも乳がんの手術を見てきているので、私も全摘なのかな?とか、そう思ってしまって、悪い方、悪い方に考えてしまいましたね。



01'20" 職場や周囲の人との関わり

 

――検査を受けてご自身ががんだと分かった時に職場の理解、または協力だとか、そういうところというのは、どうだったんでしょうか。

 

私の数年前に同じような病気で治療した方がいたので、職場としては前例があった訳です。なので、私はまず最初に、看護師長の所に行って、病院に行ったら、精査したらやはりこうでした、と。治療計画がこのようにできたというふうなことを、その時点で周りは誰もまだ知らなくて。ただ、長期化してくると、隠す訳にもいかないので、自分の口から伝えました。



01'59" 治療(手術や入院)について

 

――それで闘病が始まる、手術も始まるということで。それが成功されたと言われる、その時のお気持ちは?

 

まだ治療は終わってはいないんですけれども、ある程度は軌道に乗ったというか、自分の中で。思ったのは、放射線治療までいって、あとは内服を、その時は5年続ければいい、と。その間に、異常が見つからなければいい。で、5年過ぎた時には、乳がん学会の話の中で、10年、やはり飲んだ方がいいということで、結局5年追加になったんですけれども、これからも先、いろんなことが出てくると思うんですけれども。なので、私、がんには終わりは無いとは思っています。何処かに飛んだかもしれないがんが、見つからないだけの話であって、それを育てないために飲んでいるお薬なので、それが大きくなって何処かで悪さをすれば、その後私はどうするんだろう、ってその時に考えると思うんですよね。今は、そんなことを今から考えてもしょうがないので、今は普通に生活できるっていうことを楽しんでいますね。



03'09" 職場や周囲の人との関わり

 

――職場復帰をされて今の状況は?

 

私の前の先輩といいますか、治療していた方は休まなかったので。「私もいけるかもしれない」と。ですけれど、やはり人間変われば治療も変わる訳で、病気の内容も。抗がん剤の種類がちょっと違ったせいなのか、私はもう働くのが無理だな、って思って、まず休職3か月して、その後、リハビリを兼ねて半日ずつ。抗がん剤の最中に休職したので、私が復職した時は午前中に放射線をかけて、午後から出勤という形だったので、良いリハビリをしながら復帰できて良かったのかなあ、と思いますね。



04'04" 支えとなったもの

 

――治療を行う時の、何が支えとかになったんでしょうか?

 

まあ、いろいろと自分で調べることが、いろんな知識を自分の中に取り込むことが、その時の私の中での支えでして。もちろん家族も私をフォローはしてくれるんですけれども、先の見えない方にみんなが向かっている訳で、自分を元気づけるのは何だろうと思った時に、自分は大丈夫だ、という根拠が欲しかった訳ですよ。どんな検査をするんだとか、どういう悪いものがあるんだとか、だったら、それをどのような治療をしていくんだというのは、お医者さんたちからは聞けなかったので、自分で調べるしかなくて。で、その時に看護師の『サバイバーナースの会』というのがありまして、そちらの方に入会して、同じ思いの方に情報を求めたといいますか、こういう時はどうしましたか、とか。インターネットとかでも、名前を伏せてブログを作って、私の事を発信すると、向こうは向こうのことを教えてくれるということで、いろんな、自分の中では資料作りといいますか、あれもあるし、これもあるし、これもあるしと。いろんな中の、どれか私は選択できるのかな、とか、自分の中では引き出しが増えていった時期ですね。
 その『サバイバーナースの会』は、自分ががんになったこと、その体験を生かして、仲間を助けていくというか、がんになって困ったことは何?ということでカフェとか、いろんなあちこちで開催して、助け合うといいますか、ネットだけの相談する場ではなくて、そういうことで繋がっていることで、私は安心を覚えたといいますか。
 看護師しながら、がん闘病をした方の意見というのは、結構、私の中では役に立ちました。そして、私は今、仕事をしているんですけれども、やっぱりがんの患者さんって結構いらっしゃるんですよね。その中でがんを体験していない医療従事者と患者さんの間に自分がいるといいますか、それは両方の思いが分かるので、ついカミングアウトしてしまいたくなるんですよね、患者さんに。「私もがんなんだよ」って。言ったこともあるんですけれども。そうするとやっぱり「わかってくれる人がいた」っていう感じで、いろいろ聞いてくるんで、ここまで私も患者として安定してしまうと、そういう余裕ができてきたのも、やはりその『サバイバーナース』の中で培った、『ぴあナース』といいますか、相談を受ける側の自分とか、仕事をしている自分とか、がん患者である自分とか、いろんな自分があって、それができるのはやはり、自分が病気になった意味でもあるのかな、って、都合よく捉えています。



07'20" がんを体験したからこそ伝えたい思い~メッセージ~

 

――がんになったということで悩まれている方、そういう方に関しては、どういうふうにお声をかけて差し上げたいと思われますか?

 

がんで、何に困っているか、そのご本人も分かっているのかどうか、なんですけれども。まず、がんと宣告された時に整えなければいけない事は何なのかって、その時は分からないと思うんですよね。いろんな、頭の中が忙しくなってしまって、急に。気持ちを整理しなければいけない、家族に伝えなければいけない、親には伝えようか、いろんな事を急に攻めてこられているというか。で、その中でお金の問題も出てくるし、仕事を休んだら何処からその補償を賄うかとか、そういうふうなアドバイスっていうのがあれば、何で悩んでいるのか分からない漠然とした人、告知されてすぐの方に「心配しなくてもいいよ」って、教えてあげられるのかな、と思います。

 

――普段の検診の大切さというのはどうなんでしょう。

 

検査だけで見つからないこともあるんですけれども、やはり、検査しなければ始まらないということもあるので、検査は大事だと思います。ただ、検査すれば、もうそれでオッケーだと言うのは、間違いでして、検査で見つかってしまった人のフォローが足りないと思うんですよね。がん種にもよるけれども、予後の良いものと悪いものとがあって、乳がんでも。あなたは見つかったから大丈夫、っていうふうに、それではないんですよね。私は、たまたま今、5年後こうしていますけれども。なので、検診もそうですけれども、見つかってしまった方へのフォローも、その後ずっと続けていけるようなシステムだったらいいかなと思います。検診だけでは終わらないで。

 

――がんが分かって治療をやった。さあ、仕事をどうしようか、と思われる方もたくさんいると思うんですが?

 

仕事は辞めないで、なるべくそこの職場に居続けるように努力するべきだと思います。上司の方の理解を得ながら、あと、同僚の方の理解を得ながら。だけれども、中にはやはり、小さい企業だと、一人欠員すると大変だということで、辞めなければいけないことになるかも知れないけれども、自分で辞めない限りは辞めさせられることはないので。その時は弱くならないで、やはり、誰かに背中押してもらうのが一番いいんですよね。「あなたは辞める必要がない」と。そうしないと、傷病手当なり、高額医療での治療なりが、かなわなくなってしまうんですよ。健保とかに入っていれば、2年間は任意継続で保険は使えます。自分も社会保険を維持しながら、そして治療を全うするのが一番かな、とは思います。