1 がん検診を受けましょう!
みなさん、がん検診を受けていますか。
日本人の2人に1人は、一生のうちに何らかのがんにかかると言われており、青森県の死亡原因のおよそ3割ががんによるものです。
現在、がんは早期発見、早期治療により、高い確率で治るようになっています。
早期発見・早期治療を行うためには、定期的にがん検診を受けることが大切です。
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2 がん検診について
(1) がん検診とは
がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことでがんによる死亡を減少させることです。
がん検診は、一見健康な人に対して、がんが「ありそう」か、がんが「なさそう」かを判定し、「ありそう」とされる人を精密検査で診断し、がんを発見するものです。
また、がん検診は、症状のない方のための検査です。明らかな症状のある方には、それぞれの体の状態に応じた適切な検査や治療が必要になります。症状のある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。
*参照:「国立がん研究センターがん情報サービス」(がん検診について)
(2) 科学的根拠に基づくがん検診を受けましょう!
「科学的根拠に基づくがん検診」とは、科学的な方法によってがん死亡率の減少が確認された検診のことを指します。がん検診をせっかく受けるのであれば、科学的根拠に基づくがん検診を受けることが望ましいといえます。
1cmのがんは1年半ほどで2cmのがんになります。この1cm~2cmの間の早期がんを見つけるため、検診は1~2年ごとに受診しなければなりません。そのため、胃がん、肺がん、大腸がん検診は年1回、乳がん、子宮がん検診は2年に1回の受診が勧められています。
現在、国では科学的根拠に基づくがん検診として、表1に示す検診方法を推奨しています。
検診の種類 | 検診方法 | 対象年齢(性別) | 検診間隔 |
---|---|---|---|
肺がん検診 | 問診、胸部エックス線検査及び喀痰細胞診(喫煙者のみ)の併用 | 40歳以上(男女) | 年1回 |
胃がん検診 | 問診に加え、胃部エックス線検査又は胃内視鏡検査のいずれか | 50歳以上(男女)※1 | 2年に1回 ※2 |
大腸がん検診 | 問診及び便潜血検査 | 40歳以上(男女) | 年1回 |
乳がん検診 | 問診及びマンモグラフィ検診(乳房エックス線検査) | 40歳以上(女) | 2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部細胞診及び内診 | 20歳以上(女) | 2年に1回 |
表1 科学的根拠に基づくがん検診
※1 当分の間、胃部エックス線検査については、40歳以上を対象としても差し支えありません。
※2 当分の間、胃部エックス線検査については、年1回検診を受けても差し支えありません。
(3) がん検診の流れ
図1は、がん検診の大まかな流れを示しています。がん検診を受けて「精密検査が必要」と判断された場合には、精密検査を受けることが必要です。精密検査が必要と書かれていても、「精密検査=がん」ではありません。「念のためにもう少し検査をしましょう!」と言う意味ですので、怖がらずに早めに医療機関で受診しましょう。
「精密検査」で「がん」が発見された場合は、早期治療が大事です。
がん検診を受けて「異常なし」の場合や、精密検査を受けて「異常なし又は良性の病変」の場合も定期的にがん検診を受けてください。
図1 がん検診の流れ
(4) 受診方法について
対象となる年齢や実施時期、検査を行う場所、自己負担額等はお勤め先や市町村で異なりますので、詳しくはお勤め先か、お住まいの市町村役場へお問い合わせください。
なお、お住まいの市町村のがん検診スケジュールについては、「各市町村のがん検診スケジュール」をご覧ください。
3 各種がん検診
ここでは、各種がんの検診方法(科学的根拠に基づくがん検診のみ抜粋)について説明します。
(1) 肺がん検診(胸部エックス線検査と喀痰細胞診(喫煙者のみ)の併用)
「胸部エックス線検査」は、肺全体のエックス線撮影です。「喀痰細胞診」は、主に喫煙者を対象として「胸部エックス線検査」に併用して行います。喀痰(かくたん、吐いた痰のこと)を採取して、気管支等のがんから痰に混じって出てくるがん細胞の有無を、顕微鏡で観察します。
(2) 胃がん検診(胃部エックス線検査又は胃内視鏡検査)
胃部エックス線検査は、バリウム(造影剤)と発泡剤(胃を膨らませる薬)を飲み、胃の中の粘膜を観察する検査です。胃がんを見つけることが目的ですが、良性の病気である潰瘍(かいよう)やポリープも発見されます。
また、胃内視鏡検査は、口から胃内視鏡(体内の組織を観察するための細いチューブ状の装置)を挿入し、胃を内側から観察し、病気を探す検査です。
異常がある場合には、その組織の一部をつまみ、細胞の検査を行うことがあります。
また、胃の内側に色素を散布して、異常な部位を見やすくすることもあります。
(3) 大腸がん検診(便潜血検査)
がんやポリープなどの大腸疾患があると、大腸内に出血することがあります。この検査は、その血液を検出する検査です。便潜血検査が陽性になった場合には、その原因を明らかにするために、精密検査を受けることが必要です。病変から常に出血しているとは限りませんので、陽性になったら、便潜血検査を再度行うことは意味がありません。きちんと精密検査を受けることが大事です。
(4) 乳がん検診(マンモグラフィ検診)
マンモグラフィとは、乳房エックス線撮影のことです。この検査では、医師の触診だけでは発見できないしこりを診断することができます。小さな、とくに石灰化のある乳がんの発見に適しています。このほか、乳房の良性疾患などが診断できます。
(5) 子宮頸がん検診(頸部細胞診)
婦人科の専門医によって、子宮頸部の粘膜を採取し、がん細胞の有無やがん細胞の種類(組織型)を知ることができます。これを細胞診といい、この検査によって子宮頸がんの診断ができます。