インタビュー:青森県病院事業管理者(青森県立中央病院長) 吉田 茂昭 (2011/2/14)
インタビュー要約
診断方法は、標的とするがんの種類によっていろいろ違います。例えば消化管(胃や大腸など)なら内視鏡検査が一番確実で、早期の数ミリのがんまで見つけられます。肝臓であればCTあるいは超音波、いわゆる乳房なら触診からマンモグラフィーを使っての検査など、そのターゲットによって診断機器は考えなければいいけないと思います。
腫瘍マーカーは、前立腺では非常に鋭敏で、感度のいい検査です。ところが、他の種類については、腫瘍マーカーというのはある程度浸潤していかないと血中に出てきませんので、本当はがんがあるんだけれども腫瘍マーカーが上がらないという状況はかなりの部分で認められます。早期診断のため腫瘍マーカーを頼りに検診をやるというのは危険、逆に腫瘍マーカーが高ければすぐに検診を受けた方がいいということです。
PET検査については、国立がん研究センターがん予防検診研究センターではPETを含むいろいろな画像診断でがん検診をやっています。そこでの実績を見てみると、PETでしか見つからなかったというのは以外に少ないんですね。ほとんどは内視鏡とかCTとかで先に見つかっている。例えば首に転移のある原発巣のがんとか、頭頸部のがんとかは、PETで見つかるんですが、その他のがんはむしろCTとかの方がよく拾っています。
PETを検診で使うのが本当にいいかどうか。今、PET検査というと、がんの患者さんについて、どれくらいがんの広がりがあるか、がんの治療がどれくらい効いているか、再発はどうかといったところで使う方が普通になってきているんです。