インタビュー:弘前大学大学院医学研究科 社会医学講座 教授 中路 重之 (2010/12/10)

 

 

インタビュー要約

 死因としては、がん以外にも脳卒中や心筋梗塞がありますが、 死亡率 の中で男女とも唯一伸びているのががんです。昔は結核や脳卒中が多い時代もあったのですが、今は圧倒的にがんの時代です。

 3人に1人ががんで亡くなる時代ですが、部位で見ると、日本の場合は胃がんが圧倒的に多かった。半分以上が胃がんの時代もありました。

 しかし、だんだん胃がんが少なくなってきて、今は男性で1番多いのが肺がん、2番目が胃がん、3番目が大腸がんと肝臓がんが争っているという状況です。ここではっきりしているのが、肝臓がんがかなり減ってきたということです。肝臓がんの原因がウイルスですから、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、これに対する対策が取られるようになったと。いかに国の対策が大切かということが分かるわけです。

 女性の場合は、意外と知られていないのですが、最近一番多くなったのが大腸がん。次が割と小さな差ですが、胃がん、肺がん、大腸がんが続きます。大腸がんというのは原因がはっきりわかっていない。原因がわかっていないもの対しては対策が取りづらい、だから他のがんよりも今後増えてくる可能性があります。

 悪い意味で将来性があるがんは、男性では前立腺がんで、これは急激に増えています。女性の場合は乳がんです。この2つのがんについては、今後の対策が重要となってきます。