インタビュー:弘前大学大学院医学研究科 社会医学講座 教授 中路 重之 (2010/12/10)
インタビュー要約
自分で吸うタバコの煙は圧倒的に悪いです。しかし、隣の喫煙者の煙を吸わされるというのも悪いのが分かっています。どちらが悪いかというと、それはもちろん自分で吸うのが悪いですが、アメリカとかイギリスで、ちょっとヒステリックなまでに禁煙、禁煙と言われたのは、受動喫煙で自分は吸ってないのに隣の人の煙で病気になって命を取られるというこの理不尽さ、これは人権問題だということであそこまで盛り上がって、喫煙率は今、英米ともに20%ぐらいになっています。
タバコはいろんな悪さをするのですが、がんが一番怖いです。タバコががんに悪いという一番の分かりやすい話として、タバコの煙が入る順番にがんが出来やすくなるということがあります。例えば、口腔がん、喉頭がん、こういったものは極端に言えばタバコを吸わないとほとんど罹りません。その他、もちろん肺がんも関係ありますし、実は食道がんとか胃がんも関係があります。
タバコの発がん物質はほとんどがタールですが、唾の中に溶け込んだ発がん物質を飲み込んでいるため、胃がんまで関係あるということが分かっています。
それから、意外に膀胱がん、これがたくさんタバコを吸う人に悪いということも分かっています。
何よりも、タバコが原因のこの口とか喉とか肺がんというのは、なかなかやっかいながんなのです。特に肺がんなどは5年 生存率 が低く、命を取られる確率がどうしても高くなります。これこそ禁煙をして予防しなくてはいけないものだと思います。
タバコは若い時に吸った方が影響はでやすいと思います。若い女性の場合、特に自分のお腹に子どもさんがいた場合、妊婦さんがタバコを吸うと早産、早く生まれる確率が高いのははっきりしています。早産で生まれた子どもは小さいです。小さい子どもはやっぱり弱いです。弱いということは乳児死亡率、新生児死亡率が上がります。亡くなりやすくなるということです。もちろん子ども本人が可哀想ですけれども、一番嘆き悲しむのは当の本人のお母さんですよね。
こういったちゃんとした科学的なデータ、知識を持っていただきたい。是非とも若い女性にはタバコを吸っていただきたくないです。特にお子さんがお腹の中におられる方ですね。
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