インタビュー:弘前大学大学院医学研究科 消化器外科学講座 教授 袴田 健一 (2011/12/15)

 

 

インタビュー要約

 肝臓がんとは、肝臓にできるがんです。肝臓がんの8割から9割はウイルス性肝炎という病気を持ち、その上で肝硬変や肝炎になり、そこからがんが起こってきます。肝臓がん発生の多くの原因がウイルス性肝炎であるという要因が、他のがんと決定的に違うところです。


 肝炎ウイルスは現在5種類判明しています。A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎といい、このうち特に肝臓がんと関係があるのはB型とC型です。


 C型肝炎は肝炎全体の中の7割から8割を占め、次にB型肝炎が十数%を占め、トータルで9割がB型かC型どちらかの肝炎です。やがてそれが慢性肝炎になり、ある方は肝硬変になって、がんが発生します。


 がんの発生率

 ○慢性肝炎の最初の時期。肝炎になって間もなく、肝機能も悪くない状況

  1年あたりがんになる確率=1%未満

 ○5~10年経過後で肝機能障害が発生、血液検査で異常が出るレベル、写真で肝臓が腫れていると確認できる時期

  1年あたりがんになる確率=2~3%

 ○肝硬変の状態

  1年あたりがんになる確率=7~8%


 ※つまり、肝硬変になると、10年で約70%の方ががんになります。


 肝硬変に至ると、かなり長いスパンでがんになる可能性が高いので定期的に検査をする必要があります。どの段階でもがん化はあり得ますが、感染が起こってから肝硬変になってがんになる平均的な期間というのは、大体20~30年です。


 ウイルス性肝炎を持っていることが分かれば、がんを早期に診断することができ、早い時期に治療することができます。