インタビュー:弘前市立病院乳腺外科科長 長谷川 善枝 (2011/11/11)
インタビュー要約
日本では大体1980年代までは、ほとんど乳房を残す手術はやられていませんでした。ところが2008年のデータでは、全国の専門医のいる施設で乳房温存率は、大体6割ぐらいとなっています。
ただ、全国の病院ごとに、乳房温存率が大体2~3割から90%まで、かなり幅があります。これは、積極的に抗がん剤の治療などをやって、がんを小さくして温存手術をする施設と、少し取って無理に残すよりは全部取って再建をするというところ(形成外科の先生がいるところなど)もあり、かなり幅があります。
しかし、昔に比べると検診もだいぶ普及してきており、比較的小さいがんで見つかる方も増え、小さいがんであれば部分的に取るような手術ができるということで、結果的に残す手術が増えています。
乳房を残す手術というのは、ある程度の条件があります。
日本人であれば大まかな目安として3㎝以下の手術です。しこりが小さくても実際に見るとがん細胞が乳腺の中にずっと広がっている方の場合、乳房を残す手術は難しいです。また、小さいしこりが乳房の中にたくさんある方の場合も、やはり乳腺を全部取ることになります。
基本的には病気があるところを確実に取るということが必要ですし、乳房の大きさや形には個人差が非常にありますので、それが影響されてきます。