診断時:50歳代前半

インタビュー時:診断から4年(2009年)

性別:男性   保健医療圏:青森地域

世帯状況:親子

備考:

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(摘出は)できれば左肺の上葉半分、全部じゃないほうがいいなと、とにかくそれだけが気がかりでした。結論として、左の上葉だけの摘出で済んだんです。

 

そうだと初めて知ったのは、先生からではなくて、麻酔が醒めてスタッフが解散するときに会話で聞いたというか、研修生が来ていまして、医学部の研修生かな、女子生徒が多かったんですけれども、手術も見学していたらしくて、ちょうど手術が終わって間もなく、ほかの現場を見てきた研修生と私のを見た研修生がどこかで会ったんだと思います。

 

私は目を開けていないから場所がわからなかったんですが、その2人の会話で「どうだった?」という話を聞いて、一人の人が「左全摘でなかったから。半分だったから」という話をしていたんです。それで、あ、自分は左全部じゃなくて半分で済んだんだと、その子たちの会話で初めて知ったんです。意識もうろうとした中で、その会話だけがはっきりわかっていました。

 

―――そうですか。麻酔が醒めかけたときに。

 

それだけがはっきりわかって、よっぽどそれだけを自分で考えていたのかなと、その声だけが聞こえてきたんですよ。天井しか見えないですからどこかに運ばれて。

 

先生が来て名前を呼んで目を開けたときに、「半分で済みましたから。成功ですよ」と言われたときに「ありがとうございます」と言うと同時に、悲しくないのになぜか涙が出てきたというか、そういう状況でしたね。その後、家内とか娘が顔を見せたんですけれども、言葉にならなかったですね。要するにまた会えたというか、これは手術した人でないとわからないというか。