関係 / 家族
がんの判明は、ご自身だけでなく、同居されている家族や、遠方のきょうだいや親せきの方にも大きな影響を与える出来事です。
ここでは、皆様がご家族とどのような関係を保ちながら、がんと向き合っていったかといった、肺がんが発覚して以後のご家族との関係について、皆様の経験を紹介します。。
同居する家族・配偶者との関係
家族のなかでも特に、配偶者の方は、もっとも身近にいて、もっとも長い時間を共有している場合があると思います。
それだけに、日常生活のなかで本人よりも先に異常に気付き、検診を促すということもあるようです。夜中に咳がひどく出ていることをパートナーに知らされ、渋々病院へ行ったところ、肺がんが見つかったという方もいらっしゃいました。
また、普段の生活を共に送っているパートナーのがんの発覚は、ときに本人が感じるのと同じかそれ以上に重い経験であるようです。
ご夫婦でがんの宣告を聞き、がんにかかったご自身よりもパートナーのほうが積極的に治療法を聞いたり調べたりしたという語りもある一方、本人ではなく、ご家族ががんの告知を受けたケースでは、本人のショックを心配して、がんを知らせないという場合もありました。
次の方は、先にがんを知らされたパートナーが、入院中、付きっきりで看病してくれたことを話してくださいました。
・妻が先にがんの告知を受け、泊まり込みでついていてくれた。(70歳代前半・男性)
しかしなかには、普段と変わらぬ接し方をしていた配偶者の方もいらっしゃいました。
・夫は自分を病人扱いせず、自分も退院後すぐに日常生活に戻った。(70歳代前半・女性)
また次の方のパートナーは、取りみださず冷静に、日常と何も変わらない振る舞いで、しかもご本人以上に治療に積極的になって、病気と向き合っているようでした。
・妻は冷静にがんを捉え、驚いたり悲しんだりはしなかった。(50歳代後半・男性)
一方、家族は、自分にあまり家事を任せすぎないようにして、ストレスをかけないように配慮していると話してくれた方もいらっしゃいます。
・家族は自分に負担をかけないよう配慮してくれ、今は内縁の妻と同棲してストレスのない生活を送っている。(50歳代後半・男性)
離れて暮らす家族・子供との関係
ご自身と離れて暮らしている家族(子どもやきょうだいや両親)との関係についての語りも、多く見られました。
その内容も様々で、自分のほうから子どもやきょうだいに来ないように頼んだり内緒にしたりした、という語りがある一方、あるいは逆に、一緒に治療法を積極的に話し合った、という語りも見られました。
・子どもたちには、来るなと言っていた。兄弟には、短期の入院の際には内緒にしていた。(60歳代後半・男性)
・息子たちは医師との立ち合いにも出席し、治療法についても相談し合った。(70歳代前半・女性)
また、両親や子どもたちとの関係において、両親より若いのにがんで働けない自分に後ろめたさを感じると同時に、子どもたちに気軽に頼れることを非常にありがたいと感じている、といった語りも見られました。
・兄弟や両親が元気に畑仕事や雪囲いなどをしているのをを見ると、つらい。(60歳代前半・女性)
・気持ちを分かってくれて、経済的に援助もしてくれている娘たちはとても頼りになるし、ありがたい。(60歳代前半・女性)