生活 / こころへの影響
がんの発見・告知以降は精神的な面で様々な体験をされます。ここではそれらの体験を通したこころへの影響を紹介します。がんを患ったことにより恐怖感や不安にさいなまれる一方、家族などの支えを実感したり、病気がきっかけで前向きな心境へ変化したりする一面が語られました。
恐怖・不安
がんの告知は、死の恐怖や将来への絶望につながり、ただただ不安になり落ち込むしかできなかったという体験になることもあるようです。
・告知、手術前が一番苦しく、手術後落ちつくまで時間がかかった。死にたくない気持ちとどうでもいいやという気持ちがあった。(60歳代後半・男性)
将来のことを考えると不安になったという語りは多くみられました。中には、「70歳を過ぎても将来の心配があった。若い人はなおさら心配になるのではないか」とおっしゃった方もいます。
その他、「なんでわたしが?と思った」「まさか自分がなると思わなかった」との体験が複数語られました。その方の1人は、がんになる予期をしていないところを告知をされたために、びっくりしたというよりは、「とにかく落ち込むしかなかった」と話していらっしゃいました。
家族の支えを実感
家族など近い存在にささえられて“一人で生きているんじゃない”と思った時、前向きに気持ちが変化した方もいらっしゃいました。
・告知から10日間ほどは生へ執着して夜も眠れないほどだった。妻の言葉があり、それから「できることはなんでもやろう」という気持ちに変化した。(50歳代前半・男性)
病気を体験後、気持ちが変化
病気の辛かった体験は今もなお、こころのなかに刻まれているようですが、告知・治療・回復の一連の体験は、その後の気持ちの持ちように変化がみられるようです。例えば、生きる幸福感や安定感を感じたり、再発予防のために体調に気をつけたりするようになるなどの心の変化が語られました。
中には、治療が一旦終わった心境として、手術の傷はあるものの今の自分があることのいとおしさを語っていらっしゃった方もいます。
・がんになって3年が経過。手術の跡は恥ずかしくて見せられないが、あとは困ったことはめったにない。(70歳代前半・男性)
さらにこの方は、「これからもどうなるかわからないけれども、今、こうやって自分自身がいるということは幸せだなと思います」と語っていらっしゃいます。
しかし、がん再発に関しては神経質になるもので、中には今まで以上に体調面の管理には神経質になり、今後の自分の身体との付き合い方に戸惑うという語りもみられました。
・不安はないが、咳き込まないなど体調面管理には常に気をつけている。まだどのようにすればよいか自分でもつかめていない。(50歳代後半・男性)