関係 / 友人・同僚
がんの治療中または治療後には、職場の同僚の方やご友人との関係のなかで、しばしば気を遣わなければならない場面にめぐり会います。ご自身のがん経験をどのように打ち明けたらよいかについて、悩んでしまう場合です。告白したことによって、非常に協力的にしてくれる場合もあれば、告白しても理解してもらえない、話した相手に気を遣わせてしまうといったケースもあり、同僚や友人の方々との関係には様々な葛藤が起こりえます。
入院の際、がんの告白で相手に気を遣わせることを避けるために、別な用事で外出すると伝えた方もいらっしゃいました。
・入院中は友人に「東京へ遊びに行く」と伝え、がんの事は明かさなかった。(70歳代前半・女性)
ご近所の方々との付き合いのなかで、がんのことを知られてしまうのを気にしている方もいらっしゃいました。がん治療を行うと仕事や生活面での変化がおこり、ご近所の方が不思議がる可能性があります。そのため、周りに余計な心配をしてほしくないという気遣いや恥の気持ちから、病気のことを言わなかったり、外見は元気であるようにみせたりする場合がしばしばあります。
次の方は、ご自宅の一部が事務所になっていたため、事務所に電気がつかないと、前を通りかかる近所の方々に体調を心配されることがあったとおっしゃっていました。
・近所にもがんで入院したことは言っていない。(70歳代後半・女性)
また、べつだん隠すというつもりはなくとも、周囲の方々に気を遣わせてしまうことを心配し、がんについては極力話すことを控えているという方もいらっしゃいました。
・同僚と入浴する際、手術痕の説明をする際にのみ、がんの経験をうち明けている。(50歳代前半・男性)
がんについて打ち明けた結果、職場の同僚の方々に理解してもらえ、よい関係の中で仕事を続けている方もいらっしゃいました。
・治療後、職場に復帰し、以前と変わらぬ関係で仕事を続けている。(50歳代後半・男性)
一方、次のように、上司の方にがんの経験を理解してもらえたものの、仕事上のミスに関して強く注意を受けたことから、ご自身の仕事力の衰えについて周囲に我慢を強いているのではないかと、気にかける語りもみられます。
・理解してくれている上司に、仕事のミスをきつく注意され、普段から気を遣わせているのではないかと申し訳なく思った。(50歳代前半・男性)