治療 / 抗がん剤治療と副作用
胃がんの抗がん剤治療には、手術と組み合わせて使われる補助化学療法と治療が難しい状況で行われる抗がん剤中心の治療があります。抗がん剤の副作用は人によって程度に差があるため、効果と副作用をよくみながら行います。(各種がんシリーズ 胃がん 受診から診断、治療、経過観察への流れ,編集・発行 国立がんセンターがん対策情報センター,2010.03)
今回の胃がんの体験談では8名のうち、抗がん剤治療をうけていたのは3名でした。3名のうち、1名は手術を受ける前に抗がん剤の飲み薬で治療を行い、2名は手術の後に抗がん剤の点滴とさらに通院しながら抗がん剤の飲み薬で治療を行っていました。
ここでは、抗がん剤治療を行う際に抱いた気持ち、抗がん剤治療での副作用、抗がん剤治療を行う際に気になった医療者とのやりとりについて紹介します。3名の体験であり、ここで紹介する体験談のすべてが胃がんの抗がん剤治療をうける方に共通するとは言い切れませんが、貴重な体験談であることをご承知ください。
手術の前に飲み薬で抗がん剤治療をおこなった方は、体のだるさがありましたが、抗がん剤治療が休みの期間に泊りがけで旅行にいくなどしていました。
・手術までちょっと期間があるので、抗がん剤を投与してみましょうかということで服用しました。(60歳代後半・男性)
・副作用はそんなに気になるほどではなかったです。抗がん剤をやっても休むと平常に動くことができましたから。抗がん剤治療が休みの間に旅行に行きました。(60歳代後半・男性)
・抗がん剤が効いたから、これくらいで済んだのかもわからないな。(60歳代後半・男性)
手術後に抗がん剤の点滴と飲み薬で治療をおこなった2名の方は、抗がん剤の点滴を始める時の強い恐怖感や、食事が食べられない、口内炎、下痢、髪の毛が抜けるなどの副作用を体験していました。
・入院している間に抗がん剤の点滴を2回やって、退院してからも通院で抗がん剤の点滴をやるという説明でした。(50歳代前半・女性)
・抗がん剤の点滴を始める時、先生の顔が悪魔的に見えて、自分の細胞はそうなるのだろうかと、恐怖を感じながら受けたのを覚えています。(50歳代後半・女性)
・すごかったんですよ。とにかく体がだるくて吐いて。(50歳代後半・女性)
・洗面台の排水溝が髪の毛で詰まったのを見たとき、心臓がドキドキとなって「はあぁ」という恐ろしさがありました。(50歳代後半・女性)
・「口から食べなさい、口から食べなさい」と言われても、食べれなかったです。(50歳代前半・女性)
・怖いものですよ、下痢って。水道の蛇口をひねったみたいに肛門から出るんですよ。(50歳代後半・女性)
・退院後の腹痛で、救急での受診を繰り返し、再入院しました(50歳代後半・女性)
・ホッカイロは両肩、両腰、おなかと毎日5個使いました。それでも寒いんです。家にいても手袋をしていました。(50歳代前半・女性)
抗がん剤の副作用に苦しんでいる時、看護師からの言葉にショックをうけることもありました。そのような時、家族が支えになっていました。また、他の治療をしている人たちをみて、気持ちを奮い起こしていました。この語りは、「入院中の医療者との関係」「他の入院患者との関係」でも紹介していますが、ここでも紹介します。
・すごくショックな言葉だと思いました。患者にすればすべてが初体験じゃないですか。その時は、お父さんに泣きながら愚痴をこぼしていました。(50歳代後半・女性)
・私も頑張らなきゃと、周囲の人たちを見て元気をもらったりしていました。(50歳代後半・女性)
抗がん剤治療が終わると、2名とも身体の調子が回復していくことを実感していました。
・少し軟便みたいになってきたときは、私は本当に泣いて喜びました。これでもう治っていけると思って、トイレで本当にボロボロと泣きました。(50歳代後半・女性)
・抗がん剤を終えたその日から、下痢が止まりました。食事がおいしくて、体重が増えていくのが、うれしかったです。(50歳代前半・女性)
抗がん剤治療をしている間、抗がん剤を決められた時間通りに飲むために、食事の時間を抗がん剤を飲む時間にあわせたり、生活リズムを整えるために夜は睡眠剤を飲んで寝るなど工夫していました。
・抗がん剤を飲むときは、生活が規則的になります。(50歳代前半・女性)
・抗がん剤治療をしていた時は、何回も昼寝をするから夜に眠れなくて、眠りのサイクルが狂うと思って眠り薬を飲んでいました。(50歳代前半・女性)