治療 / 手術治療と後遺症・合併症
手術治療を受けるときの思いや手術後の回復時の様子、後遺症・合併症についてご紹介します。
初期の子宮頸がんで病巣がごく小さい場合、子宮頸部の組織を円錐上に切除する方法がとられ、2~3日程度の短期入院となります。しかし、多くの場合、全身麻酔をかけ、子宮、卵巣、卵管を摘出します。同時にリンパ節も切除することがあります。この場合、入院期間は1週間から3週間程度です。
インタビューでは女性の象徴となる、子宮を切除することで生じた葛藤が語られました。しかし、「よくなるために、手術を受ける」という思いも語られました。
・(子宮を)取ると言われたときはショックだったけども、やっぱり(子宮を)取ったほうが安心だと思いました。何となく女でなくなるような感じに思って。(文字のみ)
やっぱりそのときも手術は怖いというか、中のほうを全部取ってしまうと先生が言ったんです。(子宮を)取ると言われたときはショックだったけども、やっぱり(子宮を)取ったほうが安心だと思いました。何となく女でなくなるような感じに思って。でも、そのほうがいいって先生に言われて、(子宮を)取りました。
・先生が言うように、あってもなくてもいいような、もう役目がないのであったら、なくて軽くなったほうがいいのかなと、だんだんプラス思考に考えるようになりました。(60歳代前半・女性)
・がん、がん、がんが頭に来ていまして、先生が言わなくても自分でそう思っているから、もう手術して、元気になりたいということだけでした。(30歳代後半・女性)
実際の手術では、手術室に入った後の記憶がなく、無事に手術が終わり、目が醒めたとき、生きて帰ってきたことに安心したという人がいました。なかには手術直後一時的に集中治療室や回復室で過ごした人もいました。
・終わって目を開けたら、あ、生きて帰って来たって思いました。(50歳代前半・女性)
・回復室に2日ほどおり、その後個室へ移動し、歩行ができるようになりました(手記)
術後は回復室に2日ほどおり、その後個室へ移動し、歩行ができるようになり、リンパ液の左右のドレーンが抜けて、19日(術後6日目)にようやく6人部屋に戻ってきたのでした。手術前とは別の部屋なので初めての方々ばかりでしたが、個室で白い壁を見ている状態から開放されて、ホットしたものです。
一方で、子宮がん手術の場合、手術による肺や腸への影響を最小限とするため、手術翌日より歩行を促がされることが多くあります。特に胃や腸の手術と比べると食事開始時期が早いため、早期に腸の動きを活発にさせることが必要です。
インタビューでは、手術後痛みを我慢したこと、初めておならが出るまで苦しい思いをしたこと、手術後初めて歩いたときのことなどが語られました。
・手術の後は、痛いのは痛いんですよ。だけども、痛み止めはあまりしないほうがいいですよと言われて、あまり痛み止めをやらなかったんです。(50歳代前半・女性)
・傷の痛さよりもガスが出ないのが苦しくて、ベッドの上で転げ回って、「傷口が開かないのかしら」ってみんな心配するくらい。苦しくて寝ていられなかった。(40歳代前半・女性)
・(手術によって)あるものがなくなってしまえば、何かペタンと力が入らないんですよね。とにかく、1週間くらいはベッドから動くことができなくて。(40歳代前半・女性)
・手術の直後は傷が痛いし、ベッドから出ることもできず、点滴も始終しているので、動きが制限されて本当に体中の筋肉が凝り固まってしまって(手記)
手術の直後は傷が痛いし、ベッドから出ることもできず、点滴も始終しているので、動きが制限されて本当に身体中の筋肉が凝り固まってしまって、「マッサージ師を呼びたい!!」と本気で思っていました。動けるようになってからは、傷が痛まない程度に脚の屈伸や身体のストレッチをしました。肩回しなどは、肩こりの解消にもなるし、リンパの流れも良くしてくれるので、知らずにやっていたこととは言え、良い効果があったかもしれません。医師から安静の指示がない限りは、工夫して身体を動かして、退院後の生活に支障ないように備えたいと思いました。
1回目の入院の時は、日常動作以外であまり動き回ると疲れを覚えたので、1日病棟1周くらいしか歩けませんでした。
手術の影響で、腸と腸がよじれ、腸の近くの臓器などにくっつき、腸が締めつけられることでおこる腸閉塞があります。そのため、日頃から排便習慣をつけることが大切となります。
手記では、手術後の食事に対する対応が記されていました。腸閉塞の手術をした人からは、医師よりあと1時間遅かったら、命はなかったと説明されていました。
・子宮を取ったらどうなっているんだろうなと思って、ちゃんと縫っているんだそうです。知らない人は穴があいているんじゃないかと言うけども、ちゃんと縫っているそうです。(30歳代後半・女性)
・「何を食べても大丈夫」という医師の言葉は5割引きで聞いて、あくまでも自分のお腹と相談して食べ方に気をつけました。(手記)
私の場合は準広汎での手術でしたので、大腸から引き剥がす部分があったためなのか、腸の働きが悪くなりました。口からは食べられるのですが、なかなか消化が進まないのです。重湯から始まって三分、五分、全粥、1週間位で普通食になるのですが、普通食メニューは術後の人のためのものではないので、自分のお腹と相談しながら食べないと、お腹のトラブルが起きます。
私の場合は、10日目のカレーが自分には辛過ぎて下痢になってしまいました。また、海藻類や青菜の御浸しなども、よく噛んで食べないと本調子でない腸には負担が大きいようです。癌の手術でなくても腸に影響のある手術をした場合は、腸閉塞の危険が常にあり、「何を食べても大丈夫」という医師の言葉は5割引きで聞いて、あくまでも自分のお腹と相談して食べ方に気をつけなくてはいけません。
子宮がん手術の日常生活は、退院後1か月間は、お腹に力が入るような重い物を持つこと、入浴、性生活など制限がありますが担当医と相談しながら徐々に元の生活に戻していくことが必要となります。
一方で手術の影響で、排尿感覚がなくなり、尿漏れをするなど排尿障害が生じることがあります。
インタビューでは疲れやすいだけではなく、開腹手術による傷跡の引きつり感や尿漏れなどの身体変化があった人がいました。
・縫ったところは引きつってるような感じにはなっています。(40歳代前半・女性)
・自分では全然感覚がないけども、手術して、退院しても、半年くらいはしょっちゅう、おもらししていました。(50歳代後半・女性)
・ほとんど朝から夕方まで、トイレに行かないことがあるんです。そうすると、具合が悪いですね。ですから、なるべく水を多く飲んでるんですけど、行かないですものね。(40歳代後半・女性)
手術により、卵巣をすべて切除した場合、女性ホルモンがつくり出されなくなり、更年期症状がみられたり、膣からの分泌物が少なくなることがあります。
インタビュ-では、実際にほてりなどの症状がみられた人がいました。更年期症状を避けるため、片方の卵巣を残した人もいました。性生活に関しては術前と変化はなく、性交痛もなかったと語っていました。
・ほてりとかそういうのは、私は子どもがいるから、これに負けていられないと、更年期は全然というほど、そのときは感じられなかったです。(30歳代後半・女性)
・うちは普通です。初めからそんなに違和感がなくて、私はもったいないから、何となくいたわって使わなきゃと思って。(30歳代後半・女性)
子宮がん手術のとき、リンパ節郭清を行なうと、足や外陰部のむくみ、リンパ浮腫が起こることがあります。これらの症状が起こる時期、強さ、期間には個人差があり、症状が出現しない人もいれば、手術後数日で外陰部がむくみ人もいます。
インタビューでは、手術後8~30年以上経過してから症状が現れた人がいました。
・恥骨の半分左のほうが痛むんですよね。毎日じゃなくて、たまに痛むの。(50歳代後半・女性)