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治療法の選択・意思決定
治療法は、がんの種類や大きさ、広がり方、悪性度、再発のリスク、年齢、合併症の有無、患者さんの置かれている生活環境によって、異なってきます。特に、子宮がんの治療の場合には、命の問題だけでなく、治療後の後遺症、妊娠や出産など、女性としての生き方にも大きな影響があります。ここでは、体験者がどのように考えて治療を選択したのかについて紹介します。
体験者たちは、早くがんをとりたい、早く治りたいという思いから、体験者たちは手術治療を選択していました。なかには、がんになってしまったことを運命として受け入れて、これから自分がどうすべきかを冷静に考えて、医師を信頼して手術を決めた人もいました。また、医師から「今のうちなら治せる」という説明を信じて、全く不安を感じることなく手術治療を受けいれていました。
・とにかくここでやってみようと思って先生を信頼して受けることにして手術をしましたね(50歳代後半・女性)
・迷わなかったんですよ。今のうちだったら治るって先生に言われたものだから、それを信じて行ったものだから、全然、心配はしなかったんです。(50歳代前半・女性)
子宮がんやその治療法の知識がないことから、医師にすべてお任せするという人もおりました。
・かえって、その知識のなさが、先生の言うとおりにしようという感じでした。(40歳代前半・女性)
当たり前に医師の治療方針に従う体験者がほとんどでしたが、なかには、治療法の選択は、ひとの意見に左右されず、自分のことは自分で決定したいと、しっかり医師に意見を伝えて治療法を決定した人もいました。
・自分のことは自分でちゃんと生きてきた証として、自分のことは自分でケリをつけたいと思います。(60歳代前半・女性)
当時(約30年前)、医師からのがん告知はされずに、ただ「こどもを産んでいるんだから(子宮を)取ってしまった方がいい」と説明されて、自分もがんを疑っていたので、早く手術したいという思いで違和感なく手術を受け入れた人もいました。
・病気で早く取ったほうがいいのかなと思って、全然、違和感なく手術はしました。(30歳代後半・女性)
がんの告知の際、心の準備がないままに手術治療しか選択方法がないと医師に言われて、ショックを受けたと語っていました。
・いきなり手術という治療法しかないことにショックを受けました。(テキストのみ)
(診断時40歳代後半、インタビュー時(2009年)は1年、子宮体がん)
11月6日にMR I、11日にCTを撮り、14日午前に婦人科外来で確定した診断を告げられました。医師は「12月2日に(子宮と卵巣の全摘出十α )手術しましょう」と言いましたが、こちらには心の準備もないし、入ったばかりの会社は、11月末に人が辞めるので月末の処理が大量になることが必至であり、12月15日には姪の結婚式に出席の予定もありました。とりあえず、「12月15日に姪の結婚式があるので、それ以降にしてもらえないか」とお願いしました。医師はあれこれ考えて手術日を翌年1月13日と決め、入院は1月7日からと言いました。
この間まではⅢaという結果でも大した検査をしていなかったのに、癌が確定したとたんに子宮も卵巣も全摘出の手術になるとは、全く受け入れがたい感じがしました。まずは薬などの治療があるものと思っていました。私は自分の意志で独身で、子供も生む機会もなく、47歳という年齢にもなっていたので、子宮と卵巣を摘出してしまうことに大きな抵抗感はありませんでしたが、いきなり手術という治療法しかないことにショックを受けました。
抗がん剤治療については、その副作用の恐怖から抵抗感が多く聞かれました。なかには、がんを薬で治したいと思う人もおりましたが、医師より手術しか選択肢がないと言われ、覚悟を決めて手術治療を受け入れたと語っていました。
・「私、抗がん剤やらないと思います。食事療法をやると思います」(50歳代前半・女性)
・「お薬とかの治療はないですか」と言ったら、「これは手術したほうがいいと思います。薬はないですね」と言われた(テキストのみ)
(診断時40歳代後半、インタビュー時(2009年)は18年、乳がんも発病)
結局、個人病院で、「こういうあれですから、多分、手術ということになると思いますよ」と言われて、「お薬とかの治療はないですか」と言ったら、「これは手術したほうがいいと思います。薬はないですね」と言われたので、「私がかかっているところがありますので」と言ったら、「そこに紹介状を書きますから、そっちに行ってください」と言われたので、それも結局、1カ所だけでなく、2カ所通過しているので、紹介状を書かれたほうの病院で、そうだって言われて結果が出ましたので、やっぱりそうかという覚悟ができました。そこで手術をやるという頭は最初からありました。
抗がん剤治療については、家族と相談して治療方法を決めた人もいました。
・病院にいたほうがわ(私)も安心だじゃ。(50歳代前半・女性)