生活 / 病気と折り合って生きる
ここでは、がんを体験して、どのような気持ちの変化があったのか、そして、どのようなことを感じて生活しているのかについて、体験者の声を紹介します。
体験手記やインタビューの中で体験者は、病気になって得たもの、教えられたものがたくさんあったと言います。また、これまで気づかなかったものを気づかせてくれた病気に感謝したいと考える人がいました。なかには、普通の暮らしがこんなにすばらしいことなのだということを病気から教えられたと言います。多くの人に支えられている命だからこそ、悔いのない生き方をしたいと考えて、自分の生き方を捉え直していました。
・病気をしたことによって、悪くじゃなくて、いい意味で、与えられたものだから、それを与えられたように受け止めていけばいいと思って過ごしていますね。(50歳代後半・女性)
・気づかなかったものを気づかせてくれたのも、この病気のおかげかなと思って。(60歳代前半・女性)
・がんに感謝して、楽しく生きることができますと言えるまでになりました。(40歳代後半・女性)
・色々な人に支えられている命だからこそ、しっかりと生きる責任がある、長生きする必要もないけれど、悔いなく生きなくてはいけないと思わされている。(手記より)
今回の手術や入院は、自分の人生の中では3番目に大きな痛みを伴う出来事であったし、色々な人に支えられている人生なのだと改めて思わされる経験だった。色々な人に支えられている命だからこそ、しっかりと生きる責任がある、長生きする必要もないけれど、悔いなく生きなくてはいけないと思わされている。
がんになれば、常に再発・転移の不安がつきまとう。癌とひとりでは闘えない。信頼できる医師や医療スタッフ、そして先達であり戦友である病棟の友との交流。支えてくれる家族がいればなお心強い。そしてやはりお金。先々の不安を先取りしてもつまらない。再発・転移も覚悟して、今日の一日にできる限りのことをするだけだと達観してみる。マーカの値や日々の体調には多少ビクビクしていても。お金のこともいざとなったら、出家のようにあるいは、敬愛する雫石とみさんのように、身ひとつになって病と闘う潔い人生でありたいと思う。
・私は子宮がんになって良かったなと思います。(音声なし)
私は子宮がんになって良かったなと思います。
とにかく今を大事にして生きなきゃ。そうでないと、だれも明日のことがわからないんですもの。
当時は、手術することを納得して受け入れたはずなのに、改めて自分に子宮がないことを思って、女性である自分に葛藤を抱く人もいました。
また、身体の調子によって、元気になったり、落ち込んだりと気持ちが変化しやすいと語る人もいりました。
・やっぱりまだ、本当には受け入れられていない自分がいるんですね。(40歳代後半・女性)
・やっぱりくよくよしない、前向きに生きるということですね、それが何よりだと思います。(50歳代前半・女性)
がんになって、自分自身の生き方や死についての価値観が変わったと語る人もいました。
・ピンピンコロリで、死ぬまでピンピンしてコロリと死にたいから。(笑)(50歳代前半・女性)
一般に5年間、再発または転移がなく過ごせた場合、がんを克服したと言われています。
インタビューでは、がんを克服した人が多くいました。体験者たちは、いつ再発や転移するのかわからないという恐怖や不安を抱えながら、現在まで生活してきたと語っています。
・自分では気をつけているつもりだけども、いつどういうふうになるかわからない(50歳代前半・女性)
・どうしたらいいのかなと。そういう不安がずっと、1年以上続きました(音声なし)
がんの場合は特にね。いつほかのところに出るかわからない。そのときどうしたらいいのかなと。そういう不安がずっと、1年以上続きました。そういう思いで生きている人は多いんじゃないでしょうかね。
・絶えず常に頭のどこかでがんを考えます。そしてイコールで最悪のことを考えています。(60歳代前半・女性)
・転移が来るんじゃないか、何が来るんじゃないかと。卵巣がんは大変だっていうから、1つ残さないで全部取ってもらればよかったです(30歳代後半・女性)
・常に再発・転移の不安がつきまとう。癌とひとりでは闘えない。(手記より)
がんになれば、常に再発・転移の不安がつきまとう。がんとひとりでは闘えない。信頼できる医師や医療スタッフ、そして先達であり戦友である病棟の友との交流。支えてくれる家族がいればなお心強い。そしてやはりお金。先々の不安を先取りしてもつまらない。再発・転移も覚悟して、今日の一日にできる限りのことをするだけだと達観してみる。マーカの値や日々の体調には多少ビクビクしていても。