生活 / 再発・転移の不安
大腸がんを手術で切り取っても、少数のがん細胞が目にみえない形で体内に残っていることがあり、再発や転移の可能性があります。大腸がんを経験された方は、定期的に検査を受け、再発や転移のチェックをします。ここでは、再発・転移の不安について、インタビューで語られたお話をご紹介します。
定期検査の経験については<術後の定期検査>、再発・転移を経験した方たちのお話は<再発・転移の発見>、<再発・転移を告げられたときの思い>でご紹介していますので、そちらもあわせてご覧ください。
日常生活の中で感じる不安
インタビューでは、複数の方が、何らかの自覚症状がなくても、常にどこかで再発・転移の不安を感じていると語っておられました。考えないようにしていても、つい考えてしまうという方もいれば、本で転移について読んで、具体的な不安を感じている方もいました。
・考えないようにしているけれども、転移しているんじゃないかという考えが頭の中についつい出てきてしまう。(60歳代後半・男性)
・自分のがんがこれからどういう状態をたどっていくのかという心配はいつも頭の中にある。(60歳代前半・女性)
術後5年を経過したあと
手術後は、再発・転移の発見のための検査が一定のスケジュールで行われます。一般的には、術後5年間まで検査が行われます。大腸がんは5年以上たって再発する人は1%以下であるため、5年間、再発や転移を認めない場合、「そのがんが治った」と考えてよいとされています※1。
術後5年間の検査を終えたという方は、検査結果に安心した一方で、再発や転移の不安はずっと消えないのではないか、という思いを語っていました。不安があるため、自主的に検診を受けるようにしているそうです。そして、検診で乳がんの可能性を指摘されたとき、苦しい治療の過程が一瞬のうちに思い出され、頭が真っ白になったことをお話されていました。
・術後5年の検査結果が良かったことは嬉しかったが、頭の中の4分の1はもしかしてどこかにあるんじゃないかという不安がある。(60歳代前半・女性)
・普段は周囲の人に「もう覚悟している」と言っていたが、検診で乳がんの可能性を指摘され、「とうとう来たか」と頭が真っ白になった。(60歳代前半・女性)
参考文献
1.大腸癌研究会:大腸癌治療ガイドラインの解説(2009年度版)