生活 / お金に関する問題
インタビューでは、がんの治療に必要な経済的負担について、体験が語られました。ここでは、そうしたお金に関する体験をご紹介します。
治療費の負担
治療費に関しては、多くの方が健康保険適用の診療を受けていました。しかし、健康保険で3割負担になっていても、手術、抗がん剤、検査の費用の負担が大きいことが語られていました。治療費のほか、交通費など治療に伴う出費が負担となっていました。抗がん剤の補助的な薬や、温泉など相補代替療法の費用が負担だということを語る方もいました。
・抗がん剤そのものより、補助的な薬が高かった。別の医師に漢方薬を処方してもらっていて、足すと月に8万円は超えてしまう。(60歳代後半・女性)
・15万を超えないときは高額医療保険制度が効かず、がん保険も活用したが、もう足りなくなった。(50歳代後半・男性)
インタビューでは、経済的に大変でも治療をやめるわけにはいかなかったという方や、仕事を辞めて治療に専念することを考えたが、収入が断たれてしまうので仕事を辞めることはできない、という方もいらっしゃいました。
がんの治療のときに、子どもの教育費が必要な時期が重なったという方もいました。人生のどの時期にがんと診断されたかによって、経済的な負担が重くなることもあるようです。また、青森県の県民所得の低さにふれ、経済的な事情から治療を受けられないという人に対する思いを語っておられた方もいました。
・がん患者は60代以上の人が多く、年金収入だけだと治療が難しいのではないか。(60歳代後半・男性)
高額医療保険制度
毎月の医療費が高額になるため、高額医療保険制度を活用している方がいました。この制度について知った経緯は、病院で看護師から聞いたという方や、パンフレットをもらった方、市役所から対象になっているという通知が来たという方がいました。
自己負担の軽減につながった方がいる一方で、一ヶ月の医療費が基準額を満たさず、高額医療保険制度の対象とならないため、自己負担が大きくなっていた方もいました。
・抗がん剤が月25〜30万かかったが、8万8千円が3ヶ月続くと高額医療保険制度のハードルが低くなり、自分の負担が軽減されている。(50歳代前半・女性)
返金されるまでの間に医療費を立て替えなければいけない(注1)ことが負担だという方もいました。
(注1)必要な手続きを行うことによって、最初から立て替えせずに済む場合もある。
・月に約8万を超えた分は返金があるので、ないよりはいいのだが、抗がん剤治療を受けるたびに立て替えて支払うことになる。(60歳代後半・女性)
がん保険
就職や結婚などをきっかけに、または職場で保険業者に勧誘されるなどして、民間のがん保険にたまたま加入していたという方が複数いました。がん保険に加入していた方は、加入していてよかった、入っていなければ経済的にも破綻している、など、がん保険への加入の重要性を強調していました。
・40代の頃、職場に保険業者が勧誘に来た。働き盛りで自分ががんになることなんて考えなかったが、思いがけず加入しておいてよかった。(60歳代前半・男性)
・がん保険に加入していてよかった。入ろうかなと言っていた矢先にがんになった人を多く見た。(60歳代後半・女性)