病気との向き合い方 / 情報の集め方
近年では、テレビや雑誌といったメディアで「がん」に関する特集が組まれたり、表紙に「がん」と書かれた本が出版されたりして、いたるところで、がんに関する情報が発信されています。
インタビューでは、医療者に与えられる情報をただ受動的に受け取るだけでなく、さまざまな方法を使って積極的に情報を集めたというお話もありました。情報を収集するための主なルートには、医療者からの説明、本やテレビ、雑誌、インターネット、家族や知人などが挙げられました。
このトピックでは、大腸がんを経験された方たちが、どのように病気や治療法、病後の生活に関する情報を集めたのかを、まとめました。また、病気がわかった直後には、情報があまりなくて困ったというお話が聞かれたので、この点についても併せてご紹介します。
医師などから医療的な説明を聞く
医師から病気や治療法について説明を受けるのは当然ですが、人によって、十分に説明を受けている人もいれば、診察のときに質問をしそびれてしまうという人もいました。また、担当医以外の医療者や医療関係の仕事をしている家族を通して専門的な情報を得ている方もいらっしゃいました。
ここでは、医師や医療者から詳しい情報を得ることができていたエピソードだけでなく、医師に質問しようと思ってはいたけれど、いざとなると質問しそびれてしまったという経験も併せてご紹介します。
・心配なことは医師に質問している。医師からも、きちんと知りたい患者だと思われていて、検査のデータなどを渡してもらえる。(60歳代後半・女性)
・インターネットの掲示板を利用して、具体的な情報を調べた。病院で医師に聞きそびれた時や、次の受診日まで日があく場合なども、ネットが役に立った。(50歳代後半・男性)
・腫瘍マーカーの値が下がるということの意味を知りたくて、看護師をしている娘などを通して情報を得る。(60歳代後半・女性)
本やテレビから情報を得る
インタビューに協力してくださった方たちは、がんに関する本やテレビ番組に関心をもっておられました。しかし、本やテレビからは、がんに関する一般的な情報を手軽に得ることができますが、大腸がんに特化した詳細な情報にはあまり触れていなくてがっかりすることもあるようでした。病気に関する医学的な情報が書かれた本よりも、生き方や心の持ち方といったことについて書かれた本が、自分にとっては役に立ったという人もいました。
・病気に関する本を読んでも、大腸がんに特化した情報が少なかった。(60歳代後半・女性)
・タオに関する本を読んで、仕事中心から自分の体中心に考えを切り替えることができた。(50歳代前半・女性)
インターネットを活用して病気について調べる
インターネット上では、がんセンターのような専門的な機関のサイトが公開している医学的な情報が得られる一方、ブログのように患者が個人的な体験を綴ったものも公開されています。インターネット上の情報は、本やテレビの情報に比べると、部位別や個人的な体験など、細かい情報が得られやすいようです。特に、珍しい場所にがんができた方などは、インターネットが重要な情報源となっていました。
・同じ治療を受けている人のブログを読んで、治療費を比較する。(60歳代後半・女性)
家族・友人・同僚などから話をきく
個人的な情報ルートからは、既にがんを経験した人や家族の話として、食事のメニューや副作用の症状など、具体的な細かい情報が得られていました。病院の評判など、あまり公には伝わってこないような貴重な情報が得られることもあるようでした。
・睾丸がんになった甥の抗がん剤の経験を事前に聞いていた。(60歳代後半・女性)
・勤め先に、がんの経験者が多くいて、病院に関する情報などを教えてもらった。(50歳代前半・男性)
病気がわかった直後の情報不足
ここまで見てきたような様々なルートを駆使して情報を得てきた方でも、大腸がんがわかった直後の頃は、まだ何も知らない状態で急いで治療を受けなければならないというお話がありました。退院後に自分で調べて、他にも治療法があったと知ることもあったようです。できれば、病気になってすぐに、がんに関する基本的なことを教えてほしかったという思いも聞かれました。
・手術が終わってから自分で本を読んで、いろいろなことを知った。薬を飲むという方法も、本を読んで初めて知った。(60歳代前半・女性)
・がんのことや抗がん剤の副作用のことなど、基本的なことを最初から教えてほしかった。退院後に自分で本などで調べて、だいたいわかるようになった。(50歳代前半・男性)