診断時:40歳代後半

インタビュー時:診断から21年(2009年)

性別:女性   保健医療圏:上十三地域

世帯状況:

備考: 

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前からそういうのは、髪が抜けるとか、食欲不振とか……。

 

親類の者が脳梗塞になってて、A病院の9階に付き添いをしたんですよ。そのときに、ある程度麻痺が良くなって、8階に患者さんが降ろされたときに、隣のお部屋が乳がんの患者さんだったんですよ。今から20何年前の治療だから今みたいに進んでいたかどうかわからないけれども、乳がんの患者さんを見たときに、おトイレに行くにもみんな付き添いさんの肩を借りて、点滴を杖にして、そういうのを見たときに大変だなと思って。

 

そうしたら、いつも頭にスカーフを、眉毛の見えなくなるところまで深くかぶっていた人が、私の親類の者が通路側だったから、椅子に座っていれば、その患者さんがいつも往復するのを挨拶して、「私、乳がんで放射線をかけてて、食欲が全然ないの。私のご飯を食べてくれない?」とか、「果物がついたんだけれど食べてくれない?」と持ってくるのね。それでいろいろと聞いたら、放射線と抗がん剤で体力もズタズタで、いつ退院できるかわからないと言っていたから、できるものならこういうのをかけないほうがいいんだよと聞いて。

 

それから、その人が通らなくなったしね。いつも通っていた人が通らなくなったからどうなのかな、退院したのかな、別なところに行ったのかなと思ったりして。何人もそういう人を見ていたものだから。

 

医者のほうが正しい言い方だと思って、この年で体力には自信がないわけでもないけれど、私の年齢とあれを考えて取ったほうが今後のためにもいい、長く生きられると言ったので、先生にお任せするって言ったの。先生も「本当にいいんですか」って確認したから、「いいです」って、取ることでお願いしました。でも、後悔はしていない。その先生はまだずっといるみたいだし、その先生のときだけ2カ月に1回、曜日を見て採血に行ってましたけども。

 

行ったら、やはり「がんです。左の中心部に石灰化した1.6×2.0のものがあります」と。今のところリンパには転移していないけれども、温存法もあるし、このまま温存法をやって放射線かけて抗がん剤を打って、年齢的に上だし、体力的に耐えれるかどうかわからないから、医師としては全摘をしたほうがいいんじゃないかと思うけれども、家族に相談をした上で決めてくださいと。いついつまでに、その日にちまでに持ってきてくださいと言ったんだけれども、私はその場で、リンパに転移していないのならいい、取ってもいいということで、その場で医師に任せたんです。

 

初期といえば初期なんでしょうかね。第2なのか第1なのか。石になっていたからまだ安心だとしゃべっていたけど。これがドロドロしていたら、あちこちに散っているかもわからないと言ってたけれども。まあ、取ってしまって、気持ち的にはさっぱり。治療がないからね。これが取ってしまって治療があるのなら、あのとき取らないで治療したほうが良かったのかと思ったりするけど。ただ、お風呂に入れないというだけね。それだけ我慢すれば、あとは人工のこれで何とかなっているし。