治療 / 医療者との関係
ここでは、医療者との関係に関する語りを紹介します。
医療者と良い関係を築くことは、納得のいく安心できる医療を受ける上で欠かせないものといえるでしょう。インタビュー協力者の方々は、医療者と良好の関係を築き、十分支援を得られていると感じているようでした。よい担当医師に恵まれたこと、他の医療者からもよい支援を受けられていると感じているという語りが聞かれました。逆に、あえて深く関わらないことで関係を維持しているという方々もいました。
昔と比較してずいぶん医療者の態度が変わったことへの驚きも語られています。
・昔は、自分の聞きたいことが医者から返ってこなかった。(40歳代前半・女性)
・今は、360度まではいかないけども、340度くらい変わりました。今は良く聞いてくれます。今はいいなと思います。(40歳代前半・女性)
医師や看護師のちょっとした何気ない一言にショックを受け、心の傷の痛みを強く感じたという方もいました。ある方は、担当医師とは違う医師に「一番悪いがんだ」と言われたことが頭から離れないほどショックを受けたという語りもありました。
・ある医師からの何気ない言葉が、すごくショックで傷の痛みより心の痛みのほうが後を引いた。(40歳代後半・女性)
・手術後、看護師が「走るとゆれるから胸を少しとってほしい」と冗談で話しているのを聞いて傷ついた。(40歳代後半・女性)
逆に、ちょっとした一言で、安心感を得られるという体験についても語られていました。
・進行性だったがよく頑張ったねといわれて、ホロッとうれしくなった。(50歳代前半・女性)
・ちょっとでも傷に触って、こういうところは大丈夫だよって言う一言があると安心して帰れる。(60歳代後半・女性)
医師の移動によって主治医を交代するという体験の語りもありました。がんとの長い付き合いの中で、主治医が交代するという経験をしている方もいました。手術をして1年もたたないうちに主治医が変わってしまったという方もいました。今後の療養生活に対して不安を抱いたり、新しい医師への抵抗感のような感覚を抱いていたようでした。しかし、今回のインタビュー協力者の場合は、医師の間での引き継ぎがうまく行われていたことで、特に困ることもなく、新しい主治医ともよい関係を築き療養生活を送ることができていたという方がほとんどでした。
・引き継ぎがされていて、よく理解してもらえ安心して病院に通っている。(40歳代後半・女性)