生活 / 再発予防と体調管理
乳がんを経験した方は、その後の再発を予防するためということもあり、日頃から健康に気を遣うようになるという方が多くいらっしゃいます。ここでは、乳がんの治療後に皆さんが再発予防に向けて、実際にどのようなことをしているかを紹介します。
大きくは医療機関での健診を定期的に受診することと、日々の自己管理という2つが挙げられます。
□定期的な受診
インタビュー協力者のうちの半数以上の方が、病院での定期検診や人間ドックを積極的に受けています。「経過観察の検査」の項目でも取り上げられていますが、定期的に医療機関でチェックをすることが非常に大切であると言われています。
・人間ドックを10何年も受けている。検査が一番大事なことだと思う。(40歳代前半・女性)
健康に気を遣って健康診断を受ける中で、他の病気の早期発見につながったという方もいます。ある方は毎年がんの再発予防のために人間ドックを受診していますが、その検査で膀胱にポリープが見つかったといいます。
・人間ドックとCTを受けて、膀胱のポリープもみつかった。(50歳代後半・女性)
他にも、健診を受けた際に、肺に影があるということで、肺炎を疑われた方がおひとりいらっしゃいました。しかし、詳細な検査を大きい病院でしたことで、実は40年前(1970年代)に受けた放射線による後遺症だということが判明したという方もいました。
がんに関する定期検診はとても大切です。しかし、ただがんの再発に注意をしていればよいのかというとそれだけではありません。インタビュー時に75歳を超えていたある方は、年齢を重ねるとにともなうリスクが高いと言われている脳梗塞などにも気をつけて、国民健康保険者が受診できる脳ドックを定期的に受けています。
・がんも大事だけど、脳のほうも大事なので、年に1回脳ドックをやっている。(70歳代前半・女性)
□日常における健康管理
健康診断を受ける以外にも、皆さんはさまざまな工夫を日々しています。ひとつには、体力づくりがあります。日頃から自転車に乗るようにする、フィットネスに通う、といった運動をして、意識して筋肉づくりや身体づくりに取り組んでいる方がいます。ふたつめには、身体によいものを食べるように気をつける、ということです。
・健康すべてには気をつけようとしている。歩いたほうがいいと言われるが、膝に悪いので自転車に乗っている。油ものはなるべくとらないようにしている。(40歳代前半・女性)
特に食べるものには気を遣い、なるべく自然のものや、手作りのものを食べるようにしているという方もいます。日々の生活では無理をせず、少しでも疲れたら休むように心がけているということです。
・食べ物には一番気を遣って手をかけて普段は家で食べる。疲れたら休むことを心がけている。(40歳代後半・女性)
また、健康に気を遣ううえで、サプリメントを取り入れている方もいます。中には、再発予防に効くということで健康食品の販売員に勧められてカニの甲羅が含まれている高価なサプリメントを飲んでいる方もひとりだけいらっしゃいました。
周囲にサプリメントを飲んでいる方が多く、勧められることもよくあるという方もいます。ある方は、最終的には具合が悪くなったときに頼るのは医師だ、ということを考えてはいるようですが、周囲が良いというサプリメントも気にはなるので飲むということです。
・周囲の勧めでサプリメントを飲んだりもするが、最終的には医師の指示に従う。(60歳代後半・女性)
また、ある方は、友達の勧めで飲んだサプリメントを飲み始めたということですが、それが食欲増進に効いたと感じています。
・友達に相談して取り寄せてもらったサプリメントを飲んだら食欲がでた。(50歳代前半・女性)
ここでは、再発の予防と体調の管理についての語りを紹介してきました。定期的な検診や日々の健康管理のどちらも大切ということが言われていますが、インタビュー協力者の中には、定期検診も含め、病院にはあえて行かないようにしているという方も1人だけいました。理由として、この方はあまり薬に頼りたくないと思っているのですが、病院にかかるとどうしても薬が出されるからだといいます。体調を悪くしても、まず3日間は食べるものに配慮しながら、自宅で様子をみるということをしているそうです。