治療 / 術後後遺症とリハビリテーション
手術療法によってリンパ節を取り除く処置を行った場合、リンパ液の流れが悪くなり、手術をした側の腕が腫れたり(リンパ浮腫)、しびれたり、傷が引きつれて腕や肩の動きが悪くなるという術後後遺症がおきることがあります。そのため、リンパ液の流れをよくするために、手術後できるだけ早い時期から、そして退院後も継続して腕の運動をすることが必要となります。
インタビュー協力者の方々は、様々な術後後遺症を体験していました。手術後から何年もの間ずっと続いていたもの、また、手術後ずっと後になってから生じてくるものなどがありました。
・退院したときはなかったけど、去年から痛くなった。(70歳代前半・女性)
痛みや痺れのために、家事ができない、お風呂で身体を十分洗えないなどの生活に影響が強く現れた方もいました。
・ザラザラって痛くて、右手でご飯をご飯をよそうへらを持つのも大変だった。(30歳代後半・女性)
・痛みの中で手抜きの家事をした。主人も大目に見てくれた。(50歳代後半・女性)
痛みや腕を動かすことができないために、病気を悪く考えてしまったり、がんばりすぎて自分を追い詰めてしまったという語りもありました。
・背中が痛かった。私はきっと背中も悪かったんだと思った。(40歳代後半・女性)
・退院後、母の介護と家事を続け精神的に追い込まれていった。(40歳代後半・女性)
しかし、インタビュー協力者の方々は、後遺症に苦しむ中にあっても、こうしてはいられないと気持ちを切り替え、仕事を再開する、症状を和らげるための工夫をするなど、自分なりの対処方法を生み出しながら、新しい生活の仕方を模索していくという姿が語りから見出されました。
・痛みで休んでばかりいたが、こうしちゃいられないという気持ちになって店を再開した。(40歳代後半・女性)
・肩の痛みに対して、冷えないように掛け物や衣類で気をつけている。(40歳代後半・女性)
後遺症を防ぐためのリハビリについて、様々な工夫が語られています。山菜を採りに行き夢中になって手を伸ばしていたことが訓練の一つになっていたりと、日常生活そのものが訓練となっているという語りがありました。また、手術直後から、とにかくひたすら真面目に努力をし続けたことが、よくなれたのだという自信につながっている姿も語られていました。
・普段の生活の中で、つい忘れて手を伸ばしていたことが効果になった。(50歳代後半・女性)
・お風呂にはいって、腕を回す訓練を一人で続けた。(30歳代後半・女性)
・同室者と一緒に毎朝ラジオ体操をした。(40歳代前半・女性)