生活 / 再発の不安
乳がんを経験した方は、いつか再発するのではないかという、治療後に出てくる不安と常に隣り合わせで生きています。全国の乳がんの再発率は、がんの進み具合ごとに異なっており、より早期であるI期の再発率は10%以下、Ⅱ期になると30~40%、Ⅲ期以上になると50%以上といわれています。
乳がんの場合は、進み具合の他に、5年以上または10年以上後に再発する人も他のがんに比べて多いことも再発の不安に関わっているようです。それゆえに、インタビュー協力者のなかには、再発率のような確率だけに左右されるでもない生活を送っているようにも思われます。
がんという病気の性質から再発の不安を多くのインタビュー協力者が抱えています。たとえば、体調不良を感じたり、特定の場所に痛みを感じたりすると、そこにがんが転移したり、再発したりしているのでは、と考えてしまう人もいます。
・喉が痛むと咽頭がんなのではと思ってしまうほど、どこか痛むようになると再発したのではないかと心配になる。10年経ったから安心というわけではない。(50歳代前半・女性)
また、常に再発の不安と隣り合わせで共に生きている方もいます。その中でもある方は、定期検診を重ね、年数が経過するにつれ少しずつ安心が生まれてきたといいます。
・再発の不安は常にあるものだが、健診することで安心感がでる。(40歳代後半・女性)
再発の心配のみならず、転移など他の箇所のがんにも気を遣うようになっている方もいます。中には、定期的に健診を受ける過程で大腸ポリープが見つかったという方もいます。
・1,2年前はどこかが痛むと落ち込んでいたが、よくなった。大腸ポリープがあったため、大腸がんにも気をつけている。(60歳代後半・女性)
不安がある中で、すでに再発の覚悟をしており、いつ再発してもいいように心構えをしている方もいます。その心構えを持ち続けながら、健康診断や人間ドックを受けて日々健康の管理をしているといいます。
・いつ再発してもいいような心構えと、健康診断を受け続けることが大切。(40歳代前半・女性)
・いつまたどこにがんができるかわからないから、人間ドックを受けている。(70歳代前半・女性)
不安がありながらも再発が怖いというわけでない、ということを語る方もいます。再発することを覚悟しているようにもみえますが、乳がんを一度乗り越えてきた自分の経験を生かし、もし再発したら自分なりに受け止めて対処ができるのではないかとこの方は考えています。
・再発の不安はいつもはなれないもの、でも怖くはない。(40歳代後半・女性)