生活 / 家族のがん体験
青森の方言で「がん巻き(がん家系)」という言葉があるように、がん家系であることを気にされている人は今回のインタビュー協力者の中でも少なくありませんでした。家族のがん体験によって、がんに対する考え方や病気との向き合い方など、なんらかの影響を受けることがあるようです。インタビュー協力者の中で、家族のがん体験を語ってくださった人たちを紹介します。
□家族数人のがん体験
家族の中でも、夫やきょうだい、子どもなど数人ががんを患っていたという人もいました。乳がん以外のがん腫であっても、同じがんであるため、早期発見の重要性や治療経過の違いなどを実感している人もいます。
・夫は肺がん、兄は前立腺がん、姉は大腸がんであった。兄、姉は早期発見だったのでいまは元気にしている。(40歳代前半・女性)
・姉は大腸がん、息子は肺がんだったが2人とも見つかったときには手遅れだった。(60歳代後半・女性)
□きょうだいのがん体験
同年代であり近い存在と言えるきょうだいのがん体験は、より身近に感じたり、自分と照らし合わせてしまうこともあるようです。きょうだいのがん体験をとおして、病気との向き合い方を改めて考えることもあります。
ある方は、夫婦でがんを患い亡くなられた妹夫婦のエピソードを話され、仕事がハードで早期発見が遅れ、体も酷使されていたこと、偏食など生活習慣の問題があったことなどを振り返っています。
・4年前に妹が乳がんで亡くなった。その夫も胃がんで今年亡くなっていて、夫婦ふたりとも自営の仕事でとても忙しくしていた。(40歳代後半・女性)
また、ある方は、がんで亡くなった弟が在宅で最期を迎えたことを話され、もっと話をしたかった、会いに行きたかったという後悔の気持ちも話されていました。
・亡くなった弟は入院するのが嫌で、自分の希望により家で最期を迎えた。(40歳代後半・女性)
□親のがん体験
インタビュー協力者のなかで(以下の)は、おふたりがご両親のがん体験を話されています。おふたりともがんが見つかったときには進行しており、がんにより亡くなられています。
ご両親の時代では、「がんと言えば手遅れ」というイメージは少なからずあったようです。
・母親は地域で検診を勧める役目であったにもかかわらず、卵巣がんが見つかったときには進行していた。(40歳代後半・女性)
・父が胃がんで亡くなっている。当時はがんと言われれば手遅れの時代だった。(40歳代前半・女性)
□ がんを患った家族のサポート
夫や娘、両親など、近い存在の家族ががん闘病をする場面を一番近くで支える役割になることもあります。ある方は、夫のがん発見時には余命数カ月であったことを語ってくださいました。
・夫は肺がんが見つかったときには余命3カ月を宣告された。(40歳代前半・女性)
また、ある方は娘さんが同時期に乳がんがわかり、同じ病院に入院されたそうです。娘さんは先に乳がんの治療をしていた母親を見ているため、あまり深刻さはなかったと言います。
・自分が2回目の手術をしているとき、娘が同じ病院で乳がんの手術をした。お互いで病人が病人を立ち会いする状況だった。(40歳代後半・女性)