生活 / 支えとなるもの
がんと向き合い、立ち向かうためには、周囲の人とのかかわりや家庭環境・職場環境など様々な支えが必要になります。それは家族であったり、友人であったり、患者会であったり、人によっても時期によっても異なります。支えとなる人や環境は、その都度がんを乗り越える力と勇気を与えてくれるようです。
ここでは、そういったそれぞれの方が支えとなった人や環境についての語りを紹介します。
□入院中の支え
入院時には、突如としてがんという病気に立ち向わなければならない状況下に置かれます。家族はもちろんのこと、同室の人との励ましあいが大切な支えにつながることがあります。
ある方は、母親の朝から晩までの多くのサポートによって入院生活が乗り越えられたことを語られています。
・入院中は母親が毎日朝から晩まで一緒にいてくれた。(50歳代前半・女性)
また、同室患者に励まされたという人も少なくありません。話し相手がいること、同じ病気をしているため共感できる部分が多いことにより、精神的に救われる部分が多いようです。
・最初の入院のときに同室だった同年代の乳がんの患者に励まされ、勇気付けられた。(50歳代前半・女性)
また、ある方は、入院中は同室の人や友人と話をすることで支えてもらったと感じており、退院してから抗がん剤を服用している時には家族の支えに助けられたことを語られていました。
・入院している間は大部屋に入って同室の人とお友達になったり、話をすることが良かった。また、抗がん剤のときには、家族の人の助けがなければとてもやっていけなかったと思う。(60歳代後半・女性)
・入院中同室だった患者との付き合いがいまでも続いている。同じ病気をもった仲間と出会えたことは貴重なことだった。(50歳代後半・女性)
ある方は、同室の人だけでなく、入院中に乳がん経験者の友人と電話することで精神的に落ち着こうとされたエピソードについて「退院してからそう思ったけれども、あのときはわからないけれども、とにかく誰かと話がしたかったり、必死なのね。」と話されていました。
□退院後の生活での支え(患者会のささえ)
退院しても、がんとの闘いは続きます。日常生活や社会生活においても、入院前との違いを感じたり、精神的に追い込まれたりすることもあります。
そういった中で、精神面での支えとして、同じ病気をしている仲間や患者会の存在を挙げられる人もいました。特に今回は患者会の参加者にインタビュー協力をお願いしたこともあり、それぞれにとっての患者会の存在の大切さを語られる方が多くいました。
・自分の我が強いのもあり、家族に助けてもらおうとは一切しなかった。心細い面については、患者会でカバーしてもらった。(40歳代前半・女性)
患者会によって病気を乗り越える力をもらったという人も少なくありませんでした。家族・友人とは異なる患者会という環境により、精神的に回復していった人もいます。
・がんへの向き合い方がわからない状況のとき、患者会の記事をみて仲間に入れてもらうことになった。患者会はなくてはらなない存在になった。(40歳代後半・女性)
・自分の精神的な部分が回復できたのは、患者会で行われれる年1回の総会で全国大会に出かけられたこととその喜びだと思う。患者会のみなさんに会えることを力にして生きている。(40歳代後半・女性)
また、ある方は、患者会に入るきっかけを与えてくれた会長や患者会を運営しているメンバーに出会うことで精神的に乗り越えることが出来たと話されていました。
・会長のAさんとそのサポートをされているBさんがいなければ違う意味での病人になっていたと思う。(40歳代後半・女性)