治療 / 入院生活
ここでは、入院生活の様子やその過ごし方についての語りを紹介します。今回のインタビュー協力者の方々は、3-4週間の入院期間だったようですが、最近では入院期間は短くなり、手術を受ける患者さんの場合、手術の2日前に入院し、手術後は約1週間(合計約10日間)程度で退院となることが多いようです。この短い期間に、病院という環境の中で、治療による様々な症状を乗り越え、身体の回復を促し、乳がんであることを受け止めるなど、たくさんの課題に遭遇します。
インタビュー協力者の方々には、手術後の身体の回復を促すために、よく食べることや手術後の腕の訓練を心がけるなど、自分ができる努力を続けながら入院生活をすごしてきたという語りがありました。早く退院したいという強い思いを持って、一生懸命に運動を行い「あんたは優等生だ」と医師に褒められたことでさらにがんばろうという気持ちを高めていたという人もいました。
・体重は減りましたが、よく食べました。(40歳代後半・女性)
同室患者がいる大部屋で、他の人々に気遣いをするよりは、お金がかかっても個室で気兼ねなく過ごすことで、治療に専念しようという対処をしている方もいました。
・一人部屋で気を使うことなく自由になれた。(70歳代前半・女性)
入院し治療を受けるということは、自宅を離れ家事という役割からも離れることでもありました。インタビュー協力者の中には、退院したら、主婦として家事に追われ、しゅうとや姑の世話などで忙しく働かなくてはならないからこそ、入院中はゆっくり過ごすことができてよかったと語る人もいました。
・家に帰ったら働かなければいけないから、ゆっくり入院していた。(30歳代後半・女性)
一方、乳がんという病気になったことが受け入れられず、哀しみをじっと耐えて過ごしていた人もいました。
・何でこんなときに自分ががんに・・・と、自分で自分の殻の中にすっかり閉じこもって過ごしました。(40歳代後半・女性)