治療 / 手術療法
乳がんの手術には、乳房全体を切除する「乳房切除術」と、しこりを含めた乳房の一部分を切除する「乳房温存術」とがあります。がんの進行度や大きさなどから手術の方法を検討します。「乳房温存術」は、病変の部位や広がりによって、乳頭を中心にした扇形に切除、あるいはがんの周囲に2cm程度の安全域をとって円形に切除します。現在では、胸の筋肉(大胸筋と小胸筋)を残して乳房だけを切除する胸筋温存乳房切除術と、乳房温存術後に放射線を照射する乳房温存療法が標準的な治療となっています※1。
□乳房切除術
乳房切除術を受けることを決めたインタビュー協力者は、手遅れになることや再発することを考え、この治療を受けたことを肯定的に受け止めていました。
・手遅れになったり再発することを考えたら、私は、全部とったほうがいいかと思っています。(40歳代前半・女性)
・二度目のとき、化学療法も薦められたが私は「切ってください」っていって切ってもらった。(50歳代後半・女性)
手術後の傷がなかなか治らず、苦労した協力者もいました。家族などの協力を得て回復できたという語りや、手術の前後は眠っていてわからなかったという、手術の実際に関する語りがありました。
・けっこう大きくなっていて、悪性のものだといわれた。手術後は傷がなかなか治らず苦労した。(60歳代後半・女性)
・意外と傷口はぜんぜん痛くなかったけれども、傷の絆創膏に負けて化膿してしまった。(70歳代前半・女性)
・眠っていたから、朝までわからなかった。(70歳代後半・女性)
□乳房温存術
乳房温存術を受けたインタビュー協力者は、乳房切除術や他の内臓臓器の手術と比較して、それほど苦労や心配がなかったと語っていました。
・過去の乳房切除術を受けた経験と比べて、身体への負担がだいぶ違うことを身をもって感じた。(40歳代後半・女性)
・早期だったし、とってしまえばあとば後は大変じゃない。(40歳代後半・女性)
※1 日本乳癌学会(2006).乳がん診療ガイドラインの解説 2006年版 乳がんいついて知りたい人のために,p.56,金原出版,東京.