診断時:40歳代後半

インタビュー時:診断から18年(2009年)

性別:女性   保健医療圏:八戸地域

世帯状況:夫婦のみ

備考:子宮がんも発病 

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そっちのほうを考えて2回目、3回目は「いいです」って断りました。最初に病院に行ったときには、先生は「考えてみましょう」と言っていましたが、数日あってまた病院に行ったときに、「やっぱりどうしてもやめます」と言ったら、そこで先生も「そうですか」と言って、やらないことになりました。あんなにひどかったら何かを変えるか、吐き気止めの強いのをくれたかもしれないですけども、抗がん剤の吐き気の怖さはもう嫌です。

 

1週間も10日も続くとなれば本当に何も、飲むもできない、乳がんのほうで飲まなければならない薬さえも飲めなかったです。結局、何も受けつけない状況なんです。いいかなと思って、一口でも水分補給しても、結局それ以上に吐いちゃうという感じでした。

 

娘たちが心配して、病院に行こうと、夫も病院に行ったらと言って、このままいたらだめになるよと言って病院に行きわれました。でも、病院に行っても気を遣いながらベッドの上で吐いているのも、そっちのほうがもっと嫌だと思ったから、吐き気で入院は絶対にしたくないと思って、それで、抗がん剤は嫌だという選択をしたんです。

 

お友達の中で抗がん剤をしないで、食事療法を選んで、今、元気ですという方もいらっしゃるし、だから、そういうのが私にはやっぱり力になりました。

 

――そういう方もいるというのが。

 

はい。それはやっぱり、「患者会」の会員さんの中にいて、情報を得ていたもので、そこで私、すぐその方が頭に中に浮かびました。こんなに3回もこれで苦しむなら、そうじゃないほうを選択して、自分の体だし、自分しかだれもわからないだろうからいいなと思って、悪いところは取ったんだし、1回の抗がん剤で相当効いただろうと自分で思いました。娘が抗がん剤をやった状況から比べて自分で自分を判断しました。

 

こんなに苦しんでいなかったし、車椅子に乗りたくはなかったけども、娘が心配をして、「そんなに歩けないなら、乗れ」って言われて、採血をするところと診察室までも車椅子で連れて行ってもらって、本当に歩くこともできない状況でした。人間は苦しいときは本当は寝ていたら少しは楽になると思うんだけども、寝てることすらつらい、寝ているのがつらいからと起きて、座っても、なおつらい。どっちを向いてもつらいんです。うつ伏せになってもいられない。思い出しても本当にぞっとします。

 

――抗がん剤は吐き気だけでなく、髪の毛が抜けるとかいろいろな後遺症があると聞きますけど……。

 

抜けました。家に帰って2日目くらいから、3日目、4日目とすごく抜けてきました。3回やっていたら本当に1本も残らずにツルッとなるでしょうね。1回で終わったから、何本かは残っていましたけども。

 

――じゃあ、抜け毛と吐き気というところですかね。

 

吐き気だけは嫌です。

吐いても、いくらかでも時間をかけていたらある程度治まったんでしょうけども、またやって、またこうなったらという恐怖が私はすごく大きかったです。1週間で治まらないで、歩くことも立つこともできない、寝てても苦しい状況で、それを2週間して、少しは回復するかもしれないけども、2回目の抗がん剤を投与されて、また、そういう状況を繰り返したら、これはもう弱っていくだけだなと思ったんです。

 

本当にいい細胞も殺しちゃうというのはこういう状況になって弱っていっちゃうんでしょうと、自分自身で思ったんです。だから、すごくつらい、これも一つの経験で、やってみたから言えることですけど、あと、これでがんという病気が進行しないことに、ならないことを祈るしかないです。(笑)自分で断ったんですから。

 

――先生は何かおっしゃっていませんでしたか。抗がん剤やめますということを伝えたときに。

 

最初に言葉にしたときには「もうちょっと考えてみましょう」と言って、何日間後にまた通院で行ったときには「どうしてもやめますか。どうしますか」と言われたので、「いいです、やめます」と言ったら「そうですか。それは患者さんが決めたことですからしようがないですね」と言ってくれました。

「このほかに何か薬とかはないでしょうか」と言ったら、「今のところはないです。薬を飲むとかはないですので、それで様子を見ていきましょう」という話でした。

定期的に検診に通って、状況を見て、自分で自分の体と相談をしながらということで、今は精神的に安定した状況で自分はいるつもりでいます。

こういうふうにして年に数回、「患者会」のお友達と会えることがお薬だと思って、そっちのお薬のほうが私は大事にしているんですよ。