診断時:40歳代前半 インタビュー時:診断から19年(2009年) 性別:女性 保健医療圏:上十三地域 世帯状況: 備考: |
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この(患者会)に入って、胃がんで同じ部屋にいた方が先にここに入ってて、私があれしてないのよ。私がこうして急性すい炎で入院したというのはその人は知ってたから、「あんた、そんな神経からなったかもわかんないんだから、この会に行ってみない?」って。それで誘われて、来て、やっぱりこの会に入って吹っ切れましたよ。同じ会の人たちの話題は、「私はこうなんだよ」「そうそう、これはこうで」「私はこういう経験をした」「私はもっとこうだったよ」とか、この会に入って良かったと思いましたね。
8月にやって、4月に総会があったときに初めて入ったんですよね。本当に私は救われたというのかな。だれにも周りにも言いたくないと思ってたいのが、ここに来ると、大きな口を開けて言える。「私、乳がんしました」「子宮がんです」とかってみんな紹介するでしょう。そのときに、この人、乳がんをやっているんだと思えば、「私、まだ1年くらい。何カ月」って言うと、「ええーっ」って。「みんないろいろなことを経験しているから、わからないことがあったら聞きなさい」って。みんなのいる前で、大きな声で言えるという喜びがありましたね。
――言える、話せるというのが。
内に秘めるんじゃなくて、言える。今までは知られたくない、見られたくないと思って、服なんか着てもね、道路なんか歩いてても、どっかの商店の前でサッと直して歩くような感じだったから。それは常に今も思っているけど、この集まったときには何でも言える。本当にありがたいって私は思いましたよ。
――それで救われて?
救われました、私は。だから友達でも2人、やった人がいるんですよ、「私はこうだったから、入らない?」って。でも、「その会に入ると、がんの会でしょう」って。それに抵抗を感じるみたいでね。嫌だって。(患者会)っていうのは、がんの会だっていうのはみんな知っているでしょう。だから、それに入ったところを見られたりするのが嫌だって。
――ほかの人に知られたくないから(患者会)に入らないと。
そう言うわけね。でも、「私、こうなんだよ、これこうなんだよ、あんたどうだった」とかって。「私、もう20年近くなったからもう忘れた」とかって。「入ってみて。いろいろ話せるし、遊びに歩いても、同じそういう人がいて、お風呂なんか団体で入るから抵抗もなくなったし。それでいくらかお風呂や銭湯に行っても抵抗がなくなったね。タオルとかはするけどもね。ここの会に入って、1年に1回の日帰りの研修旅行というか、そうすると、どこかの温泉に行って、みんなで入るので、乳がんの人も、子宮がんの人も、胃がんの人も全部入るでしょ。そうすると、全員タオルも何もかけないで入るから、そういうのでいくらか抵抗がなくなってきたね。
――ほかの人も同じようにやってるということで。
そうそう。同じがんの病気だっていうあれがあったのかな。自分ではすごく良かったと思っています。
――それで随分救われて。
そうですね。
――今でもやっぱり、ほかの人にはなるべく知られたくないという感じで?
よその人には言えても、やっぱり会社内では言われたくない。
――会社が特になんですね。
特に嫌。あともうちょっとで定年になるんだけども、会社の中ではやっぱり。いろいろな噂も、そんな病気の噂なんかはパーって広がって、「そうなんだってよ、そうなんだってよ」っていうのを聞いているからね。
――ほかの人の噂が広がるのを見ているから。
そうそう、聞いてるからね。言いたくないっていうのがありますよね。
――自分もああいうふうに噂をされるのは嫌だと。
嫌だ。女の口だから。(笑)それはすごく抵抗を感じていますね。あとは別に。丸っきり知らない人でも「あんた、その病気したんだってね」ってば、「うん、やったよ」とは言えるけど、会社の人だけは嫌。それが頭の中にあります。会社の人にはしゃべりたくない。
――それ以外のところでは言えるようになって。
だれかに会って、「やったんだってね、大変だったね」って言われれば、「うん、やった」とは言うけどね。