診断時:40歳代前半

インタビュー時:診断から19年(2009年)

性別:女性   保健医療圏:上十三地域

世帯状況:

備考: 

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支えになったことですか。私は、今はパン屋さんに行っているけれども、前はパン屋ではなくて、麹屋さんていう、麹をつくるところに行ってたんですね。

 

――麹? お酒の?

 

お酒つくるときの麹。そこに勤めてて、がんになったから、そこは麹をつくることから店で売るというのをやっていたから、そこの奥さんが、私がうつ病みたいになっているのを知っていたみたいで、「うちに来て。2時間ずつでいいから」って。「朝の10時から12時まででいいから、うちに来て店番して。私、商売に出て歩くから」って、それで出ていったのが良かったのかもわからない。

 

そうでないと、おばあちゃんと2人でずっとしているから、何か息詰まるような感じもしたし。元々、外に出て仕事をするのが好きだったから、「2時間、薬代くらいは働いてもいいか」と思ったりしてね。それで吹っ切れたのもあるかもわからない。もう、ずっとだったら疲れると思うから、10時から12時までとか、だんだんに9時から12時に。それから、9時から行って午後の2時ころまでとか徐々に徐々に延ばして。

 

お客さんが来ると、私も知らないふりして、前からいた顔をして「はい、いらっしゃいませ」とかって、にこやかに笑って接していると、だれも「あんた、病気したんだって」って言う人もいないし、お客さんは知らないから。それで救われたかもしれない。

 

家にばかりいるよりは、出て、帰って来て、おばあさんがいるんだけれども、ちょっと疲れたから1時間くらい横になってからご飯支度をするとか。絶対におばあちゃんのいる前で寝るとか、足を崩すとかもできない感じだったのが、「おばあちゃん、悪いけども、私、1時間横になってからご飯支度するから」って言えば「いいよ」って。そのままグーグー、疲れているでしょ、やっぱりね。1時間眠って、ご飯支度しないとっていう気持ちがあって、2人の人だったらずっと寝てると思うけども、起きて、ご飯支度して、その繰り返しだったの。

 

それで私は救われたと思う。人と話すのが好きだから、お客さんが来ると、お客さんは何も知らないから、「ちょっと見なかったね」とか言うの。「ちょっと休憩したの。リフレッシュしたの」。こういう体型だから、「どこをリフレッシュしたの」「気持ちのリフレッシュしてきた」って。太い体しているから、どこリフレッシュしてきたかわからないから。(笑)

 

――体力が回復するのに合わせて少しずつ仕事を増やしてきて。

 

そういうふうにやってくれてね。ずっと、一応責任者みたいになってやっていたから、休まれたほうも困っていたみたいで、「何時間でもいいから来てほしいって。疲れたら茶の間で寝ていいから、横になっていいから」って言われたんだけど、そのときは緊張しているしね。だから重いものは持たない、裏の作業はしなくて良い、店番していてくれればいいっていうので、その条件で。それが良かったかなと思ってます。

 

――いつくらいからお仕事は再開されたんですか。

 

それ、そのままずっと、だんだんに1カ月、2カ月といって、1年間はびっちり8時間労働じゃなくて、そんな感じ。4時間、6時間と。

 

――その麹屋さんのほうではご病気のこともお話しして?

 

それはもう、勤めていたときだったから、こうなったから休ませてほしいって。「早期発見だからいいんだよ。早く悪いのは取ったほうがいいんだ。いつでも健康になったら勤めてくれればいいからって、ゆっくり休んで」って。「あなたはあんまり働き過ぎたから、神様が休めっていうのでそういうのを与えたんだから」って言ってくれたから。「稼ぎ過ぎたから、ちょっと休みなさいっていうのでなったんだから、早期発見であればまた、休んでくれば、またお願いしたいから」って休ませてもらって。

 

1年間休ませてくださいとは言ったけども、家にいて、こうしているのを聞いたんじゃないのかな。多分そうじゃないかなと思ったらしくて、「遊びに来てみて」って行ったら、「何時間でもいいから来て」って、だから行ったんです。

 

――そうやって元の生活に少しずつ戻られて。周りはもう、治ったんだから元気になっていくだろうという期待があったんですよね。

 

うん、そうそう。顔ではそれらしい振りをしないようにしてたんですけどもね、中のほうがやっぱり。(笑)表を見たら、みんなには、元気そのものだという感じはしてたみたいですけどもね。精神的にちょっとね。単純な私でも。(笑)