診断時:70歳代前半 インタビュー時:診断から2年(2009年) 性別:女性 保健医療圏:青森地域 世帯状況: 備考: |
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ああ、でも、これで何というか、抗がん剤も放射線もやらなくてもいいんだとなったら、失ったものもあるけれども、そういうふうな、マイナスのあれが体に降りかからないというだけで、その分いいんだと。すべてこれでゼロなんだから、いいんだと。
ただ、こっちには注射もできない、血圧も測れないという一生のマイナスが残されたけれども、わりとはっきり割り切れました。ショックで泣いたり、眠れないとか、誰かに訴えるとかそういうことは何もなくて。あっさりしたものです。
――大浴場には行かないとかおっしゃる方もいらっしゃるようですが。
それはありますよね。例えば、地域の方たちの新年会なんかよく、(近郊の温泉地)とか、どこかの温泉であるでしょう。行きますけれども、入浴はしない。今も行っているんですけれども、膝が悪いものだから、(近郊の温泉地)の温泉が効くというし、どこの温泉がいいかなとインターネットで調べたら、湯札を買うと3つシールがついていて、湯札は1,500円なんだけれども、1回500円で入浴できる。どこどこと温泉が決まっているんですよね。
外来の場合は入浴時間も制限があるんですよ。その中に、駅の近くというと、(ホテル名)とか(ホテル名)もあるということで、やはり見られたくない。見る人は大変だったねと思うんだろうけれども、だから(ホテル名)の温泉に行っているの。
1人か2人のときは別に何ということはないけれども、12時ころになると日帰りのお客様というか、団体さんで来て、どこかで食事して、ドッと入りに来るんですよ。最初からずっと奥のほうに陣取って、それはやはり気遣いがありますよ。何県だったか、自分もそうだったんだけど、肌色の、肌に馴染んだ、ブラジャーみたいな、何だかわからないけれども、それをつけたままお風呂に入ってもいいという温泉があるんですってね。
だから、青森県の(地域名)だかどこだかの人も、別なタオルを前に下げて、この部分は隠れるというのを発明して、(施設名)の温泉でも売っているって言うけれども、でも、一般の人が普通に入浴するときに、浴槽のところにこういうのをぶら下げて入る人はいないでしょう、今。
だから、それよりだったら、ホテルの温泉にずっと入りに行っていますよ。人がいると気になりますよね。だから、500円出さなくても、足代がかからなくて良い温泉が市内にもあるけれども、やはり人の目は気になりますよね。それはなる、なる。相手に不快感を与えるかと思って。それはありますね。
同情の目で見てくれる人もいるんだろうけれども、やっぱり同年齢の方が好奇心で見る人もいると思う。何人に一人がそういうふうな患者さんだって、みんなみんなが全部取っているわけじゃないしね。温存の人もあると思うからね。それはあります。行きません。絶対行かない。