診断時:40歳代後半

インタビュー時:診断から18年(2009年)

性別:女性   保健医療圏:八戸地域

世帯状況:夫婦のみ

備考:子宮がんも発病 

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――乳がんを2回やって、最終的に子宮がんをやってとなると、どちらも婦人科系で女性特有のご病気だと思うんですけども、この病気を経て、女性として何か考え方が変わったこととか、ありますか?

 

言葉にしてどういうふうにして説明したらいいのかしらね。

 

――難しいですよね。

 

例えばのお話はないですか。

 

――今までもお話をしてくださったんですけども、お体の面でも見えるところがなくなってしまったとか、女性特有の子宮というものがなくなってしまったとかは、もちろんすごくショックだったと思うんですよね。女性としての役割みたいなものに何か変化を感じたりはしたのかなとか。

 

それは、私は年齢が若くなかったから良かったなと思います。最初の乳がんのときは本当に、子供もそんなに大きくなかったですし、同じ病室にいた方で60代くらいの方がやっぱり乳がんで入ってきたときには、その方にもそのときの私の考え方が申し訳ない考え方だったと思うんですけども、自分がこのくらいの年齢になってからだったらな、とそのときに思ったのを今、思い出しました。

 

やっぱり若かったゆえに、ここがなくなったことがすごくショックで悩んだし、そういうふうにかなり年配の方が乳がんだといったときに、これくらいの年齢に自分もなってからだったらと。でも、それも相手にとっては失礼な私の考え方でしょう。何歳になってもやっぱり嫌なものは嫌でしょう。だから、今となっては仕方がないから、子宮のほうをやるにしても若くないから良かったと思います。

 

――そうですね。

 

だから、若いときにこっち(胸)が残ってて、今、逆に、こっち(子宮)を全部取りますだったら、また自分の考え方が変わっていたかもわからないです。若いときに取っちゃって、今こっち(胸)側が残っていられるということは、年がいってからだったら自分自身でもっと許せたのかなと、受け入れがもっと早かったのかなと思います。

 

だから、娘はまだ若いから、これは大変だなと思います。せめて40歳を超えてからだったらなと、本当に思いました。若いからかわいそうだなと思っています。

 

――一番最初に全部取られたときは、お子さんはまだ小さかったんですよね。

 

そうですね。一番大きい娘が高校を終わったころでした。小さいのが小学校4年生くらいです。

 

――ご自分でも傷口を見れなかったとおっしゃいましたけども、ご家族にも?

 

見せなかったです。今は、娘がやっているから孫は見ていると思うけども、結局、私がそうだっていうのも孫にも教えなかったです。娘がなってから、孫にも「ばあちゃんもそうなんだよ」ということを言ったので、孫は高校1年生になりましたけども、本当に何年か前に孫にも娘たちが教えたというくらいのものです。

 

見せることはしなかったです。だから、孫が小さいときに遊びに来たりしてお風呂に入れてあげるのに、普通なら自分も入ってとか、上半身だけでも裸になってとか孫の体を洗ってサッと流してやるとかをしたいけども、やっぱり裸になるということは絶対しなかったです。それはしませんでした。

 

――なるほど、そうですね。

 

ということは、やっぱりまだ、本当には受け入れられていない自分がいるんですね。どうしても女性として、そこにないということが嫌なことなんですよね、きっと。

 

――でも、全く100パーセント受け止めるというのは難しいですよね。

 

そうですよね。やっぱり夏になると着るものも薄くなりますから、皆さんに「どうしている?」と聞くと、ブラジャーにパットを入れていくらかあれしているよと言っているから、「同じだね」と言っているんですけども、やっぱり、普通のとはちょっと形が違ってきますよね。どうしても同じようにはいかないので、やっぱりちょっと気になりますね。

 

半袖を着て、薄手で。冬だと寒いから上着を着るとか、いろいろな隠しようがあるけども、夏のころはそれが一番気になります。最初のころは本当に悩んで、ほかの人はだれもわからなければ気にもしてないんでしょうけども、どうしても自分が一番気にしているんですよ。どうしても自分で。

 

――そうですよね。

 

やっぱりそこは女ですね。お腹だったら、今、自分がなっても、常の隠しているところだし、裸にならない限り見えないところだからいいですけども、ここ(胸)はやっぱり裸にならなくても気になります。今でもそれはあります。

 

――お洋服に気を遣ったりとかはされますか。

 

わからないでしょうけども、何か着たときに見えないかな、気にならないかなと思って、ちょっとそこに意識がいきます。それはありますね。やっぱり、本物とにせものは違います。いくらブラジャーでそこを繕っても、思うようにはならない感じですね。